“返礼品ありき”の状況
では、15年度にふるさと納税がこれほど増加した理由を地方団体はどのように考えているのかという項目では、返礼品の充実が1017団体(56.9%)とトップだった。次いで、ふるさと納税が普及し、定着したと回答したのが999団体(55.9%)だった。
また、ふるさと納税を募集する上で各地方団体が工夫して取り組んでいるものとしては、インターネットの活用やパンフレットの作成などのPRを充実することを1390団体(77.7%)があげ、さらに返礼品の充実とPRを1108団体(62.0%)があげている。つまり、ふるさと納税をしてもらうためには、どのような返礼品を揃えるのか、そしてそれをどのようにPRするのかに苦心しているということだ。
その活動が見事に功を奏したのが、前年には40万円しかなかった納税額が翌年には約21億円にもなった佐賀県上峰町だといえよう。
一方では、ふるさと納税の受入額を公表していないという地方団体も362団体ある。これは全体の約20%に相当する。納税を寄付金というかたちで受けていながら、その金額の公表をためらうのにはどんな理由があるのだろうか。きちんと公表するのが義務だろう。
もっとも関心の高いふるさと納税に対する返礼品の有無についてでは、返礼品を送付している地方団体が1618団体(90.5%)にのぼる。返礼品を送付していない168団体(9.4%)でも、今後の返礼品を送付することを検討中というのが95団体(5.3%)あり、ふるさと納税は“返礼品ありき”の状況になっていることがわかる。
納税額の半分が費用に消える
しかし、当然のことだが返礼品を送付するのには費用がかかる。返礼品と送付費の合計額は約675億円にものぼる。これは、ふるさと納税の全体額約1653億円の約40%を占める。このほかにも、広報費用、決済費用、事務費用などを含めた費用は全体で約793億円となっており、ふるさと納税全体額の約48%にものぼっている。つまり、せっかくの寄付金であるふるさと納税も半分は費用に使われているということだ。
今年4月、過熱するふるさと納税の返礼品に対する報道や、それを受けた地方団体の返礼品選び・広報活動に注意を促すため、総務大臣が以下の内容を記した「返礼品(特産品)送付への対応について」という通知を出す事態に至った。