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急増する外国人偽装滞在の実態

少子化にあえぐ専門学校や大学が外国人偽装滞在に加担 虚偽の在籍証明など新た手口

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●放置すれば、極端な排外主義の増長も

 いうまでもないが、日本に在留する外国人の圧倒的多数は、入管法を遵守しており、日本にとって有益な存在である。しかし、軽視できないほどの偽装滞在者が紛れ込んでおり、治安の維持や労働市場の安定に悪影響を与えている。偽装滞在者問題を放置すれば、一部で広まりつつある極端な排外主義を増長させることにつながりかねず、そうなれば、外国人にとっても日本人にとっても極めて不幸な事態となる。したがって、入国管理局においては、より厳正な審査及び、より積極的な摘発が求められる。

 ただし、事実誤認に基づく処分は、外国人に甚大な不利益を与えるので、決して許されない。よって、適正な手続きを徹底的に担保することが必要不可欠である。また、入管法に違反してしまったものの、深く反省し、再犯しない旨を具体的根拠をもって固く誓約している外国人に対しては、家族の結合等の人道上の観点から、在留を特別に許可するといった柔軟な配慮が必要となる場合もある。

 あらゆる分野において国際化が進展し、グローバル市場における競争も激化している現在、企業にとって、有能な外国人人材の確保は必須である。さらに、著しく少子高齢化が進行する日本においては、将来的に労働力や税・社会保障費の負担の担い手として、大規模な移民受け入れを求める見解もある。

 他方で、日本がどのような外国人をどれほどの規模受け入れるかということや、受け入れた外国人に対して権利義務関係を含めいかに対応するかということは、その判断を誤れば、取り返しのつかない影響を、日本社会に与える事項である。国民の一人ひとりが、どのような外国人に永住を認めるべきか、単純就労者を含めた移民を受け入れるべきか、外国人に地方参政権を与えるべきかといった、外国人への対応に関する問題意識を高め、熟議する必要がある。

 移民先進国とされてきた欧州各国の移民政策はいずれも失敗し、混迷を極め、社会不安の大きな要因となっている。日本においても、外国人問題の対応を誤れば、これまで長らく維持してきた社会の平穏性、安定性を失いかねない。まさに明日は我が身である。(一部敬称略)
(文=山脇康嗣/弁護士)

●山脇康嗣(やまわき・こうじ)
1977年大阪府生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科専門職学位課程修了後、東京入国管理局長承認入国在留審査関係申請取次行政書士を経て、弁護士登録。現在、第二東京弁護士会国際委員会副委員長。主要著書として、『詳説 入管法の実務』(新日本法規、単著)、『入管法判例分析』(日本加除出版、単著)、『Q&A外国人をめぐる法律相談』(新日本法規、編集代表)、『事例式民事渉外の実務』(新日本法規、共著)、『こんなときどうする外国人の入国・在留・雇用Q&A』(第一法規、共著)がある。

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