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2010年に上記31種の病因物質のいずれかに汚染されている食品で疾病罹患した患者数は、実に6億人。この内42万人が死亡したと推計されている。世界の交通事故死数が10年は124万人であるから、その3分の1に相当する死者数である。6億人という患者数は、世界の10人に1人が被害を被っていることになる。
最も発生頻度が高いのは、ノロウイルスやカンピロバクターに起因する下痢性疾病であり、下痢性疾病の死亡者は23万人と推計され、非チフス性サルモネラ属菌によるものとされた。
感染源を食品と水に分けた場合、地域ごとの食品の割合は、非チフス性サルモネラ属菌では、イギリス、フランスなどのヨーロッパ地域Aで76%、米国、カナダなどのアメリカ地域Aで73%、日本、オーストラリアなどの西太平洋地域Adでは74%であった。要するに7割以上が食品を通じた疾病になっているのである。
さらに、この推計では国別調査もしている。このうち日本の推計では、「推計年間発生率は規制当局による通常のサーベイランスデータで報告される発生率を遥かに上回っていた」(同)ことが明らかになった。
要するに、日本においても食中毒などの発生件数は、公表されているよりはるかに多いことが推定されるということが、WHOによって指摘されたのである。
この食品由来疾病の世界的負荷推定は、DALYsを指標として推計している。DALYsとは、死亡により失われた年数を指す「損失生存年数」に、傷病による障害を持ちながら生きる年数を指す「障害生存年数」を加算して算出されるが、この推計では、31種に起因する食品由来疾病は世界的に3300万DALYsという負荷を与えているとしている。
(文=小倉正行/フリーライター)
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