7月上旬、全裸状態で下半身に黒いビニール袋、両手に衛生用手袋をまとった窃盗犯の映像が、韓国メディアによって公開された。犯人は6月25日、従業員が帰宅して誰もいない美容室に窓から侵入し、慣れた手つきで金庫から現金約2万円を盗んで逃走した。
それから約1週間後、美容室の近隣に住む17歳の少年Aが窃盗犯として逮捕された。彼はなぜ、裸にビニール袋という変態じみた格好で犯行におよんだのか。警察の取り調べに対し、Aは次のように証言したという。
「裸になれば、(犯行の)証拠が残らないとドラマで知った」
ちなみに“元ネタ”となったのは、日本でも人気が高いアメリカドラマ『CSI:科学捜査班』(日本ではテレビ東京系など)だという。Aは裸で犯行を行えば捕まらないというドラマの内容を実践し、窃盗に及んだのだという。
この裸に黒ビニール袋パンツという犯罪手法は意外と効果があったようで、警察は「Aの奇想天外な行動により、身元の把握に混乱を来した」とコメントしている。事実、事件現場周辺の監視カメラを30台以上分析し、ようやくAにたどりついたそうだ。なお、Aがこの店に裸で窃盗に入ったのは2回目で、前回は約4000円を盗み、見事に逃げおおせていたということも捜査で明らかになっている。
7月12日にも、裸で他人の住居に侵入し、金品を強奪しようとした男が逮捕された。犯人は24歳の脱北者B。早朝に一人暮らしの女性の家に侵入すると、裸に凶器といういで立ちで住人女性を脅迫。財布を盗もうとしたが女性の抵抗にあい、駆けつけた警察に現行犯逮捕された。
Bが警察に連行されるシーンはエレベータの監視カメラに残されており、こちらもメディアによってすでに公開されているのだが、その姿はなんとも滑稽だ。警察の捜査によると、A同様、Bも「警察の捜査をかわすために服を着なかった」と供述しているという。
今後、韓国では裸の模倣犯がさらに登場するのだろうか。被害者には申し訳ないが、素っ裸で必死に部屋を物色している犯人の姿を想像すると、思わず笑いが込み上げてくる。
(文=河鐘基)