北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの父、滋さんが5日、死去した。
当時13歳だっためぐみさんは1977年、新潟県で失踪。97年に脱北した亡命工作員の証言などによって、北朝鮮に拉致された疑いが浮上したことを受け、横田滋さんは全国の拉致被害者家族らと「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」を結成し、自ら代表に就任した。以降、全国で講演や署名活動を行い、2002年9月には当時の小泉純一郎首相が電撃的に訪朝したが、北朝鮮側は日本に対し、めぐみさんは「死亡」していると伝達。滋さんは会見で涙ながらに「信じることができない」「生きていることを信じ続けて闘います」と語った。
そして14年には北朝鮮で生まれためぐみさんの娘さんとモンゴルで対面し、17年には滋さんの妻、早紀江さんらがアメリカのトランプ大統領と面会し拉致問題の解決を訴えたが、いまだに解決されていない。
横田さんの訃報はメディアでも大きく取り上げられているが、国際政治学者の三浦瑠麗氏は自信のTwitter上で、横田さんの訃報を報じるニュースを引用しつつ、
「運命に翻弄されながら、ただただ娘さんのことを待ちつづけられた素晴らしいお父さまでしたね。お悔やみ申し上げます」
と投稿。これに対し、インターネット上では以下のように批判の声が多数挙がっている。
「運命ではありません。拉致は北朝鮮の国家犯罪。主権侵害です。」
「国ぐるみで拉致されたら、あなたはそれでも『運命に翻弄された』と言いますか。国家ぐるみの犯罪に巻き込まれた日本と自分の家族を、まるで物語の解説を語るように言えますか」
「運命なんて言葉を横田さん家族に面と向かって言えますか?」
「運命というのはあまりにも失礼な言い草」
「この方の人生を運命という言葉で表すのは不遜です」
「ポエムも大概にしてください」
「待ち続けてないですよ!ずっと行動されていました。机上の空論の浅はかが分かります」
「『運命』も『素晴らしいお父様』も、言葉が余りに軽い」
「自分の肉親が国家ぐるみの犯罪に巻き込まれて拉致された事件に対してそれを運命だと表現する傍観者」
「『ただ待ち続けた』も違いますね。どれほど骨身を削って活動をしてこられたか」
こうした声について、全国紙記者は語る。
「まだ日本で北朝鮮による拉致という問題の存在すら認知されていなかった1990年代から、横田さんはゼロから家族会を結成し、それこそ身を削って活動を続けてこられました。ですので、『ただただ待ちつづけられた』という表現は不適切でしょう。
また、娘さんを拉致され40年以上も苦しみ続けるご家族が、もしそれを第三者から『運命です』と言われれば、どういう気持ちになるのかという点にも想像力が欠けていると感じます。さらにいえば、三浦さんが横田さんと面識があるのかどうかはわかりませんが、もし直接的な面識がなかったのだとすれば、『素晴らしいお父さまでしたね』という表現も軽々しく、違和感を覚えます」
今回の三浦氏の言動については、軽率だという批判は免れないかもしれない。
(文=編集部)