検察庁法改正問題が国民を巻き込む議論に発展している。
事の発端は今年1月、定年目前だった黒川弘務・東京高検検事長の定年の半年延長が閣議決定されたことだった。当時、国家公務員法の定年延長制は検察官に適用されないという法解釈を変更してまで、安倍内閣が定年延長を決定したことに、批判に上がったが、今国会では内閣などの判断で検察幹部の定年延長を可能にする同法改正を与党は目指しており、現在審議されている。
同法案は、検察官の定年を63歳から65歳に延長し、さらに内閣などの判断によって定年自体を最大で3年間延長できる特例も盛り込まれており、役職定年のない検事総長(定年は65歳)の定年を68歳まで引き上げることができるようになる。また、地検検事正や高検検事長などには役職定年(63歳)を設けるものの、内閣の判断によってこの役職定年も最大で3年間延長可能とする特例も含まれている。
黒川氏は安倍政権に近いとみられており、森友学園をめぐる財務省職員への捜査では不起訴となったものの、いまだに問題が燻っているだけに、安倍政権が保身のために同法改正を進めようとしているとして、世論から批判が高まっている。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大の最中での動きでもあることから“どさくさ紛れの法案改正強行”だとして、野党のみならず与党からも疑問の声が出ている。
メディアもこぞってこの問題を取り上げるなか、14日放送のテレビ番組『とくダネ!』(フジテレビ系)では元東京地検特捜部副部長で衆議院議員の若狭勝氏、政治ジャーナリスト・田崎史郎氏、国際政治学者・三浦瑠麗氏、タレント・ラサール石井氏らが議論を交わした。
そのなかで田崎氏は同法案可決の意義について、「国も地方も定年を迎える方に“引き続き務められますか?”“それとも辞められますか?”と意思確認しないと、2年後の採用人数が決められないので、今年の通常国会で決めないといけない」と説明。ラサール氏は「“国家公務員の定年延長はいい”って言っている。それになぜ検察庁を束ねるのか」と疑問を呈したが、田崎氏は「検察官が国家公務員だからです」と返答した。それを受けすかさず若狭氏は、次のように反論した。
「田崎さんの基本的考えは間違っています。検察官は特別公務員といって、一般公務員とまったく違う枠組みで給料も法律も別途で決められています。“検察官も国家公務員だから今回の改正案も国家公務員法の中で行われている改正だ”と述べられましたけど、明らかに違います。国家公務員法と検察庁法は別の法律です。それを分けて、別途もっと時間をかけて審議することはいくらでも可能です」
田崎氏は安倍首相とも近しいことでも知られ、“政権寄りのジャーナリスト”ともいわれているだけに、このやりとりを受けてインターネット上では次のような声が上がっている。
「田崎史郎氏もついに擁護が破綻」
「田崎氏はいつだってアベの味方じゃん。ジャーナリストじゃない」
「田崎速攻嘘がバレる」
「田崎某は、独自取材に基づくジャーナリストとしての発言じゃなくて、政権の番犬」
「田崎さん凍りつく…」
「田崎氏は間違っていても言い切る癖がある」
ラサール石井氏に厳しい声
また、ラサール氏といえば自身のTwitter上などでも同法案改正の動きを厳しく批判しているが、今回の『とくダネ!』出演を受けて次のように話題となっているようだ。
「ラサールがフルボッコ」
「ラサールが反対派の足を引っ張ってない?」
「正論で反論されたらなんか支離滅裂になりだして矛盾し出して理解出来なかった」
「とくダネ見てるけどラサールさんすごい感情的な発言ばっかりに聞こえて引いちゃう…なんで呼んだの…?」
「テレビに出て悲惨な状況だね。ラサールさん」
「三浦瑠麗にフルボッコされて何一つ論破できてない」
「三浦瑠麗がラサールに『感情的に反対するんじゃなくて〜』と言ってる」
「三浦瑠麗さんは分かりやすぅ ラサールさん落ち着いて」
果たして同法案は可決されるのか、その行方が注目される。
(文=編集部)