強引ともいえる外交姿勢により、あらゆる近隣国と対立を深めている中国だが、国境紛争や貿易摩擦を抱えるインドとの関係も急速に冷え込みつつある。
7月24日付印紙「hindustan times」などが報じたところによると、インドに駐在している中国国営「新華社通信」の記者3名がビザの延長を拒否され、外交問題に発展している。
記者らは、ビザ申請に他人の名義や偽名を使った疑いがあるといい、7月31日までの国外退去を命じられたという。
ビザ延長を拒否された記者のうちのひとりは、すでに6年もインド国内に駐在しており、これまでビザ発給に関するトラブルはなかったという。そんななかで突然のビザ延長拒否は、インドによる「意趣返し」と見る向きもある。
広東省地方紙の記者は、このように話す。
「この一件は、6月に韓国ソウルで行われた、核兵器開発に使用される関連資機材や技術の輸出を管理する原子力供給国グループ(NSG)の会議と関係があるとみられています。インドは長年NSGへの加入を目指していますが、複数の国が反対しています。それらの国の反対を主導しているのが中国なんです。中国人記者へのビザ延長拒否は、それに対する当て付けとみられています」
一方、7月24日付印紙「THE HINDU」の記事では、同国内務省筋の話として、3人が最近バンガロールを訪れ、チベット人活動家とコンタクトを取ったことが問題になったと指摘している。彼らのこの行動が取材目的だったのかどうかは明らかにされていない。偽名で資格外の活動を行っていたとしたら、彼らは“スパイ”だった可能性もある。
インドのインターネット上では、この件に関し、自国政府を支持するコメントが多く寄せられている。「(中国大手メーカーの)シャオミ、フーウェイ、ZTEもインドから出ていくべきだ」との声も大きくなりつつあり、中国製品の不買運動の呼びかけも行われているほどだ。
中国政府は静観しているものの、7月24日付「環球時報」には「中印関係にとても不利な影響を与える可能生がある」とする専門家のコメントが掲載され、インド側に釘を刺している。ほかにも複数の新聞が報じたものの、ほとんどが「環球時報」の記事を転載した程度で、政府が報道規制を敷いている可能性も指摘されている。