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買収や合併によって、他企業の一部門として成長をとげる例も多い。最近アステラス製薬が買収したオカタ・セラピューティクス社(2014年にアドバンスド・セル・テクノロジー社が社名変更)は1994年にクローン技術を背景に設立され、再生医療の分野で先端的な研究開発をしてきた。
米国では、生命科学分野のベンチャーは「魔の川」と「死の谷」を飛び越えたところからスタートしており、「ダーウィンの海」の生態系で生き残るには既存の企業も重要な役割を果たす。グーグルやアマゾンといった企業が、まるでブラックホールのようにベンチャーをのみこんでいくIT業界とは、また別の力が働いている。
こうした生態系は、躍進いちじるしい生命科学分野だからこそ成り立つのかもしれないが、根底にあるのは未来に対する確信であろう。この点は日本も見習う必要がある。どうすれば研究者や企業が明るい未来を描けるようになるか。これが閉塞した日本における科学研究の課題である。
(文=寺門和夫/科学ジャーナリスト、日本宇宙フォーラム主任研究員)
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