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五代目山健組が與若頭ら「神戸残留派」を一斉処分し、離脱が決定的に…対する神戸山口組の対応は?

文=山口組問題特別取材班
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五代目山健組から絶縁処分を下されたとされる與若頭

 神戸山口組の中核組織である五代目山健組。その親分は中田浩司組長であり、たとえその身が塀の中にあろうとも、組長の言うことは絶対である――そんな強い意志が、五代目山健組では貫かれたようだ。

 これまで五代目山健組では、神戸山口組を離脱した勢力も、残留していた勢力も、「あくまで親分は中田組長である」という明確な姿勢を示していた。その中田組長が、唯一接見できる弁護士経由で示した意向は「神戸山口組を離脱せよ」というものされている。それゆえ離脱勢力のほうが、五代目山健組の主流派であると内外に認識されやすかったといえるだろう。一方、残留派が中田組長の意向に背くつもりがあったかといえば、そうではなかったようだ。

 「神戸山口組に残留を決めた五代目山健組・與(あたえ)則和若頭(與組組長)らは、中田組長の意向に反するつもりはなく、今は神戸山口組の中で中田組長の帰りを待つという姿勢を取っていたのです。その上で、晴れて中田組長が社会復帰すれば、そこで中田組長との直接の対話を経て、神戸山口組を離脱するか、もしくは神戸山口組の中で五代目山健組として活動していくかを協議していきたいと考えていたのではないでしょうか。ですので、そうした山健組の状況に対しては、袂を分かった“分裂”というよりも、トップを同じとした“分派”という表現を用いるほうが適切に感じられていました【参考記事「新生・五代目山健組がついに誕生」】。しかし、離脱した五代目山健組の考えは、そうでなかった。中田組長の意向に沿わない残留派を問題視していたというのです」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 結果、五代目山健組の離脱派は、残留派に対して処分を検討。そして、中田組長の承諾を得たのち、8月24日付をもって、與若頭に絶縁処分を下したというのである。

 その他に絶縁処分を下されたのは、山健組の保守本流である健竜会出身で、五代目山健組では若頭補佐の重責を務めていた誠竜会・山之内健三会長。初代会長が、四代目山健組で若頭を務めた経歴を持つ、二代目健國会・西野雅之会長。その他、11人の直系組長が破門、6人が除籍となったようだ。つまり、残留派の直系組長たちは、離脱派から、ことごとく処分されることになってしまったのだ。これにより、五代目山健組は、神戸山口組からの離脱をより鮮明にしてみせたことになったのである。

「そうなれば、今度は神戸山口組執行部が、離脱した五代目山健組サイドにどういった決断を下すかという点が問題になってくる。離脱勢力に対して断固とした態度を見せつけないと、内外に対して示しがつかない状態になるからだ」(業界関係者)

 一方、六代目山口組の強さは、こうした事態が発生したときにあるといわれている。六代目山口組の絶対的な司令塔といわれる髙山清司若頭は、こういった際、組員の減少などには目もくれず、たとえ相手が実力のある親分であっても、組織の規律を最優先し、後に「粛清」とすらいわれる厳しい処分を下してきた。そこには微塵の躊躇もなく、それは、5年前に六代目山口組から盃を割って出た神戸山口組に対しても同じであった。

 ヤクザにとって、盃とは「掟」である。その掟を破って、自らの意志を貫こうとした神戸山口組が、今度は中核組織に離脱されるという事態に見舞われた。かつて、自身も盃を割って出たという立場だという分、神戸山口組には、目には見えない重石ともいえる、不利益が存在してしまっているのかもしれない。今後の神戸山口組の対応に注目が集まる。
(文=山口組問題特別取材班)

山口組問題特別取材班

山口組問題特別取材班

ヤクザ業界をフィールドとする作家、ライターおよび編集者による取材チーム。2015年の山口組分裂騒動以降、同問題の長期的に取材してきた。共著に『相剋 山口組分裂・激動の365日』(サイゾー)がある。

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