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来年度大学入試に大変更、早稲田も明治も志願者減?“合格しやすくなる大学”は?

取材・文=A4studio
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早稲田大学の大隈講堂(「Wikipedia」より)

 迫る受験シーズン。大学受験を控える家族がいるご家庭では、緊張感が張り詰めて来る頃だろう。

 新型コロナウイルス感染拡大という有事真っただ中の来年度入試は、入試制度に変更があり、大きな節目を迎えることになる。各予備校が大学入試難易予想を更新していくなか、例年と比べてどういった変化や注意すべき点があるのだろうか。そこで今回は大手予備校・河合塾の教育情報部に話を聞いた。

共通テストへと変わり、志願者が減るかもしれない大学・学部

「最も注目すべきは、やはり来年度入試から変わる、大学入試センター試験から大学入学共通テストへの移行でしょう。来年度入試はそれによって入試全体に大きな変化があります。

 共通テストへの移行は、数年前から国が進める『高大接続改革』によって『知識・技能』『思考力・判断力・表現力』『主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度』といった3つの要素を、バランスよく評価する入試へと変えていこうという取り組みの一環です。その移行に併せて、国公立・私立ともに、二次試験・個別試験の内容も大きく変わるでしょうから、受験生はそれ相応の対策も必要になります」(河合塾・教育情報部)

 やはり共通テストへの移行が、受験生に与える影響としてはかなり大きいようだ。では国公立、私立はそれぞれ具体的にどういった変化があるのだろうか。

「国公立の二次試験では、試験内容の変化以外に、主体性を評価するための面接を実施したり、調査書の内容を点数化して組み込んだり、志望理由書などの資料を提出させたりする大学が増えます。

 私立の個別試験では、とりわけ東京の難関私立大学に大がかりな入試変更をする大学が多く、志望者の動向にも変化が表れています。なかには、従来はセンター試験利用入試を取り入れていなかったものの、来年度入試から共通テスト利用入試を始めるという、上智大学や学習院大学といった私大もあります。

 特に上智大学の場合は、共通テストや英語外部検定試験を必ず織り交ぜた合否判定方式に変わります。また早稲田大学は、センター試験利用入試をもともと取り入れていましたが、政治経済学部や国際教養学部、スポーツ科学部は、一般選抜においても共通テストが必須化されます。

 そして、早稲田大学や上智大学は、個別試験が“英語と社会を組み合わせた総合問題”といった出題になる学部・学科があり、大学独自の色が強くなります。そうすると志望者はその大学個別の対策を取る必要が生まれてきますので、受験生にとっては他の大学とは併願しにくくなってしまうんです。そういった意味では、早稲田大学や上智大学の併用方式を採用した学部は、志願者が減ってしまうのではないかなと予測しています」(同)

合格者を増員させる必要がある、大学サイドの裏事情とは?

 来年度入試の受験にまつわるトピックは、共通テストへの移行以外にもある。なんでも、大学の経営にも関わってくる“ある事情”によって、合格者枠数が年々変化しているらしい。

「実は、来年度入試の合格者を増やす可能性の高い大学がいくつかあるんです。それは、国の施策である“私立大学の『経常費補助金不交付ルール』の厳格化”に端を発します」(同)

 一体どういうことなのだろうか。順を追って、まず「経常費補助金不交付ルール」について説明してもらった。

「私立大学には、入学者数が定員数を一定以上超過する場合、経常費補助金がカットされるというペナルティがあるんです。その超過ボーダーが2016年以降、段階的に厳格化し、特に2016、2017年度では各大学が入学者数を定員数に近づけるよう合格者数を大きく絞り込んだことで、私立大学の難化につながった経緯がありました。定員超過の是正は2018年度までに終えている大学が多く、私立大学の合格者数は2019年度から再び増加に転じています。

 ただ、今年度は大学側が考えていた以上に合格を辞退する受験生が多かったんです。18歳人口の減少によって大学志願者数自体が減り、国立大学などの、より高い志望順位の大学に合格できた受験生がこれまでより増えたことから、結果的に定員を充足しなかった大学もありました。具体的には早稲田大学、中央大学、法政大学、明治大学、東京理科大学がその事例に該当します。

 つまり、今年度は合格者を増やしたにもかかわらず、入学者数が増えなかったものですから、来年度はさらに合格者を増やす可能性があるんです。一方で、大学志願者数はさらに減少する見込み。ですから、志願者が増えなくても合格者が増えることで倍率が下がり、合格しやすくなる大学はあると思います」(河合塾・教育情報部)

 なるほど。そういった裏事情も生徒の合否に影響を与えていたとは驚きだ。では最後に、節目の年であり、特殊な条件下で受験勉強に勤しむ来年度入試の受験生へのアドバイスを伺おう。

「初めにお話ししたように、受験生にとって一番大きな変化は共通テストへの移行です。それについては不安視している受験生も多いでしょう。とはいえ、共通テストの積極的な利用はチャンスにもつながることを忘れないでください。前述したように、一部の大学では共通テストの利用を拡大します。また、共通テスト利用入試によって大学に受験しに行かずに合格判定がもらえれば、コロナ感染リスクの回避にもなります。

 また、共通テスト自体は前例がないので、センター試験と比較すると平均点も大きく異なってくる可能性もあるでしょう。しかし、大切なのは相対評価なので、自己採点した時点で点数が芳しくなかったとしても、まわりがどれぐらい得点を取れていて平均点がどれぐらいかがわからないと評価のしようがありません。ですから共通テストを受けて“失敗した”と思っても、落ち込み過ぎることなく、自身の出来が相対的にどうなのかを冷静に確認した上で、国公立大学の出願などを考えてほしいです」(同)

 確かにいくら前例のないこととはいえ、条件はみな平等。事前準備をしっかりと整え、情報に翻弄され過ぎずに、落ち着いて試験に臨んでもらいたいものである。

(取材・文=A4studio)

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エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
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