横浜市ではこの汚泥を定期的に抜き取り、堆肥等の素材としていたが、汚泥堆肥の基準である200Bq(ベクレル)/kg(1kgたり200Bq)を超えていたため、業者に引き取りを拒否され、汚染されていることがわかった。この雨水利用システムを設置していた市立学校は43校あったが、その内17校では国による最高汚染濃度を示す指定廃棄物(8000Bq以上)が検出され、ドラム缶22本分となっていた。
一方、現行の原子炉等規制法で定められた基準である100Bqをはるかに超える汚泥(3000Bq以上)の汚泥も26校で保管されてきた。これら汚泥は、指定廃棄物を含め「汚染廃棄物」として横浜市全体で43校、ドラム缶131本分がそれぞれの学校で保管されてきていた。
保管場所は、学校ごとで異なり、プールなどの機械室であるポンプ室や倉庫、納屋などであったが、放射性の危険物質が保管されているという表示すらしていないところがほとんどであった。これまで教育委員会は、各校ごとに安全に保管されていると説明してきた。(汚泥はこのほかに排水溝から抜き取ったものもあった。)
汚泥を入れたドラム缶の上面の棒状の突起物は安全弁であり、発酵によって内圧が高まったときには外にガスを出すようにしていた。汚泥のように水分を含む有機系の廃棄物は、閉ざされた空間では嫌気発酵してメタンガスなどが発生し、これまでも堆肥化関連の施設などで爆発事故が起きている。そのために安全弁を取り付けていた。そんな危険なドラム缶が、子どもたちが生活する学校や保育園に6年間も放置されていたが、今回、これら汚泥・汚染廃棄物はすべて学校から移管された。しかし除染土壌は大半が移管されず、埋め立てられたまま残された。
校庭や園庭が2011年の東京電力福島第1原発から飛散した放射性物質によって汚染されていたため、表土部分を掻き出し除染した。その時にかき集めた除去土壌は、横浜市が独自に決めた基準によって、学校関係は17校分、保育園関係は9施設分が移管されたにすぎず、図表1で見るように、学校については4校、保育園については300園が校庭、園庭に埋め立てられたままになっている。
図表1:移管された汚染廃棄物等
種別 施設数 保管量
(1) 雨水利用施設からの汚泥 43校 131缶
(内指定廃棄物) 17校 22缶
(2)マイクロスポット対応除去土壌
市立学校関係 17校 約3.2トン
保育園 9施設 0.2トン
(3)その他 (目安値未満だが施設処理できなかった分)
学校 12校 約5.4トン
保育園 8施設 0.4トン