南スーダン国連平和維持活動(PKO)で「戦闘が生起した」と書かれた陸上自衛隊の日報について、防衛省が「廃棄した」という説明した後も陸自内に保管されていた“日報問題”が、再び火を噴き始めた――。
18日、稲田朋美防衛相が保管の事実を「非公表」とする旨を防衛省内で了承していたと、一部メディアで報じられた。
防衛省は2月、「統幕内」で保管されていたデータとして日報を公表したが、翌3月には、すでに1月時点で陸自内で日報が見つかっていたと報じられ、稲田氏は特別防衛監察を指示していた。
そして今回の報道によれば、2月に開かれた、陸自内に保管されていた文書への対応に関する防衛省内の幹部会議において、「隊員個人が収集したデータであり、陸自の公文書ではない」との申し合わせをし、陸自に保管されていたという事実は公表しない方針が決定され、その会議に稲田氏も出席していたという。稲田氏は3月の衆院安全保障委員会で「(陸自内でデータが見つかったことは)報告はされなかった」と答弁しており、野党は虚偽の答弁を行ったとして批判している。
一連の報道を受け稲田氏は19日、「隠蔽を了承したとか、非公表を了承したとかいう事実は、まったくありません」とコメントしているが、なぜこのタイミングで突然、稲田氏の“隠蔽疑惑”が報じられたのであろうか。ジャーナリストの朝霞唯夫氏は語る。
「今回噴出した稲田問題は、防衛省内部の陸自幹部からのリークだといわれています。というのも、これまで稲田氏は省内で幹部をはじめとする職員らを見下した態度で振る舞い、まともに幹部のレクチャーを聞かず、頭ごなしに威張り散らしていたのです。しかし、国会答弁は滅茶苦茶で、日報問題では逃げ回る始末。さらに今月には、九州地方の豪雨災害対応でも、陣頭指揮を執るどころか不在だったことが明らかになりました。防衛省幹部たちとしてはもう我慢の限界だったにもかかわらず、安倍晋三首相は相変わらず稲田氏をかばうばかりで、更迭せずに8月の内閣改造で交代させると伝わっています。省内には『冗談じゃない、即刻辞めさせるべきだ』との声が充満しています。つまり、今回のリークは、防衛省が安倍首相に『これでも改造人事まで引き延ばして、交代させるつもりですか?』と、問いかけた“一手”なのです」