前回掲載の記事『公安警察「ゼロ」の“極秘任務”…市民活動・自衛隊・メディア・右翼団体などを監視』で説明した警察における行政事務手続きや公安組織との縦割り行政によるお役所仕事気質を踏まえて、沖縄の現状を見てみます。
社民・照屋氏「沖縄は『公職選挙法特区』」
辺野古基地移設への反対運動で知られる屋寛徳衆議院議員(社民・オール沖縄)は、国会で安倍晋三首相(当時)に次のように質問しました。
「沖縄における辺野古新基地建設反対運動、東村高江の米軍ヘリパッド建設反対運動は、国政選挙や首長選挙で示された民意を無視して、これらの工事を強行する国家権力に対抗するための非暴力の抗議活動である。特定の政党や団体、活動家らにとどまる反対運動では断じてなく、いわゆる『オール沖縄』の旗印の下に多くの県民が結集する、開かれた抵抗闘争だ。『内外情勢の回顧と展望』62頁には、『沖縄県民大会』に『全国から党員や活動家らを動員した』との記述があるが、具体的にどの政党を指しているのか、当該政党の名称をすべて列挙した上で、『動員した』と断定する根拠について政府の見解を示されたい」
それに対して安倍首相は、「『沖縄県民大会』に『全国から党員を動員した』と記述された政党は、日本共産党であると承知している」と回答しています。
ところが照屋氏は2010年10月29日、那覇市で開かれた同年11月の沖縄県知事選において、社民党が推薦する前宜野湾市長の伊波洋一氏(現参議院議員)を支援するパーティーで次のように明言していたのです。
「沖縄は『公職選挙法特区』ですから。逮捕を覚悟で腹をすえてやってもらいたい」
「街頭行動を頑張ってもらいたい。公選法を守ろうと思っている人は(今日の飛行機の)最終便で(帰っていい)」
「万一逮捕されたら弁護士は私でなく福島みずほを呼んでください」
このパーティーには福島みずほ党首ら党幹部に加え、全国の地方組織から週末のビラ配りなどのために沖縄に来た約90人が参加していましたが、その場で誰一人この発言を問題視する者はいませんでした。
また2013年4月1日には、自身のブログで『沖縄、ついにヤマトから独立へ』と題した文書を公表し、「明治以来の近現代史の中で、時の政権から沖縄は常に差別され、今なおウチナーンチュは日本国民として扱われていない」との認識を表明し、「沖縄はいっそ日本国から独立したほうが良い、と真剣に思っている」と発言しました。
その上で、同年5月15日の沖縄の本土復帰41周年にあわせ、沖縄が日本からの独立を目指す「琉球民族独立総合研究学会」設立に対して「大いに期待し、賛同する」と発言しました。
中国共産党政府がほのめかす「沖縄独立」
なお沖縄の独立をめぐっては2013年5月8日に中国共産党の機関紙「人民日報」が、政府系シンクタンク・中国社会科学院の研究員らが執筆した『歴史的に未解決の琉球問題を再び議論できる時が来た』との論文を掲載し、「琉球は明清両朝の時期、中国の属国だった」として、日本が武力などで併合したと強調。日清戦争後の下関条約に関し「(敗北した)清政府に琉球を再び問題にする力はなく、台湾と付属諸島(尖閣諸島を含む)、琉球は日本に奪い去られた」と主張しました。また人民日報傘下の国際情報紙「環球時報」が5月11日の社説『激活琉球问题,为改变官方立场铺垫(琉球問題を活性化して、公式の立場の変更への道を開く)』で、沖縄の独立勢力を「育成すべきだ」などと中国政府に提案し、国際問題にも発展しました。
沖縄県民からは「独立が『沖縄の総意』とは思わないでほしい」と危惧する声もあがってはいます。
刑事警察では予算も個人情報も、民主党政権時から与党である共産、立憲、社民に掌握されていること。また、それ以前から共産党への支持が強く議員数も多い沖縄県内では、共産党への捜査権がないことふまえ、与党である共産党陣営は選挙違反を「やらなきゃ損!」とばかりにやりたい放題。その悪習慣は他の与党陣営だけにとどまらず、野党(自民・公明)支持者にも一部伝播し、県警捜査二課では頭の痛い問題となっています。
共産党や、反政府活動などの公安常時調査監視対象団体の活動においても同様で、団体の活動、運動員の動き、交友関係、通話などの情報収集で組織相関図やデータを作る事ばかりに各々が熱心で、仮に暴行・傷害、公務執行妨害などで逮捕しても、警察署を反対派が取り囲み「逮捕被疑者を返せ!」とシュプレヒコールをあげるなどの恫喝行為を数と身近な暴力を陰でちらつかせる事から、県内出身警察官などは自身や家族の身の保全を鑑みて正当な公務執行力を発揮する事を憚る傾向もあり、問題となっています。
反基地活動家の対応などには、他府県警警備部から機動隊などからも応援を得ていますが、政治活動に慣れた者ほど法の抜け穴に熟知しています。逮捕されても微罪であったり、起訴を決定するほどの自白証拠や物証を取れなかったり、公判上で巧妙な新証拠を出す用意なども周到に計画されており、公判維持ができる可能性が低いとなれば、検察、警察ともに逮捕勾留すること自体に消極的になっていく負のスパイラルに陥っているのが現状です。
「基地反対派」に袋叩きにされる地元の若者
辺野古キャンプシュワブで違法ビラやリボンなどを撤去する「フェンスクリーン活動」を行っている方が、基地反対派に寄ってたかって暴行を加えられるといった事態も警察官の目の前で起きています。
フェンスクリーン活動は辺野古区民青年団や辺野古商業社交業組合などの地元の方が定期的に行っているもので、違法に設置された立て看板やポスターなどを撤去するボランティア活動です。一方、基地反対派(反対派リーダー、平和運動センター山城博治氏)の多くは沖縄県外からやってきた者たちで占められ、バス停や緑地帯、国道上にも違法駐車、街路樹などにも勝手に入り込みテントを建て、露天業を営むという傍若無人な無法地帯の体をなしています。
地元の青年たちは必ずしも基地賛成派というわけではないのですが、地元の外からやってきた者たちに地元が汚され、座り込みや反対派が行う関所活動で国道の車の交通が妨げられ、仕事に行く時間にも支障が出る現状を見かね、地元美化のためにボランティアで集まっています。
反対派との争いは恒常的で、出くわせば睨み合い、暴言を浴びせてくるだけでなく、一人を反対派が複数で取り囲み、服をつかむだけでなく身体に直接触れ突き飛ばす、蹴る、もみ合いになり押し倒す、持ち物を弾き飛ばす(特に撮影機材)、眼鏡やマスクをはぎ取りそして多勢で美化活動をする人の顔を撮影します。
昼間に活動を行えば、争いが激化するのは必至ですから夜に活動を行う事もあります。運悪く反対派に見つかると、またしても一人を複数人で取り囲み、撤去した違法なビラやリボンを「持ち主に許可なく外すな!元に戻せ!」と奇声を発します。改めて言いますが、そのビラやリボンの設置自体が違法ですし、反対派の占拠しているテントも公道で行う座り込み自体が違法なのです。
ある方はこの時に9名の反対派(山城博治氏含む)に取り囲まれ、もみ合い、サンダルは壊され、引きずり回されマスクをはぎ取られ顔を撮影されました。
反対派の暴力に対し警察もマスコミもダンマリ
驚いたことにこのような乱暴狼藉を起こす反対派の中には玉那覇淑子北谷町議会議員の姿も確認されましたし、撮影をするうちの一人は翁長久美子名護市議会議員でありました。
その場に警察官は駆け付けたものの、反対派は一向に制止命令にも従わず、暴言も暴行もとめようとはしません。この時は暴行で被害届を出したとの事ですが、名護警察署がこの件で動いた事もないというのが現実です。
地元マスコミもどこか変です。進入禁止区域に平気で入り込み取材を行う琉球新報ですが、ヘリやドローンを無許可で飛ばしている事を報告した警戒船の警戒員は、「反対派の妨害工作を報告した人物」として沖縄タイムスに晒され、琉球新報も確認もなく後追い記事で晒し行為をし、反対派は海保や警備会社を調べ漁協に圧力をかけ、報告した方は職を失うという憂き目にあっています。
伊波洋一参議院議員(会派「沖縄の風」所属)も海保の警告を無視して何度も侵入禁止区域で活動を確認されています。沖縄タイムスも琉球新報もこういったことは一切報道しません。反対派に取り囲まれ軟禁状態になっている人の真横で名刺交換をし、笑みを浮かべています。
反対派はこうした都合が悪い者たちに対して、撮影した写真などから個人を特定しグーグルマップを印刷した紙を見せながら「お前ん家、ここだよな」と脅しをかけ、自分たちに反する者たちには徹底した暴力をちらつかせます。
“違法行為”は基地反対運動だけでなく地方選挙に波及
こうした左翼活動家天国だけでなく、選挙違反天国という不名誉な汚名を着せられてはいるものの、長年に渡り取り締まった事のない沖縄県警察は「違反を犯罪行為として認識できていない」という他地域では考えられない非常識が常識化しているのです。
選挙期間中は、選挙事務所、選挙街宣車看板、公営掲示板に貼付されたポスター、選挙管理委員会から配布された街頭演説標記旗など以外に候補者名を示すことはできません。
個人ポスターも、通常選挙であれば任期の6カ月前には撤去せねばならず、それ以降は複数名が印刷された演説会告知ポスターなどにしなければなりません。その演説会告知ポスターとて、選挙告示前日までに撤去せねばならないのにもかかわらず、沖縄県内の選挙では候補者の名前の入ったのぼりやポスターが乱立し、「これが日本の選挙期間中か?」と驚くばかりです。こうした選挙風景をどこかで見たことがあると記憶たどり、思い出しました。
「そうだ!アメリカの選挙風景だ!」
そこで、地元の方にこうした違反選挙はいつ頃から公然と恣に行われているか尋ねてみたところ、「復帰後からだと思います。 そもそも遵法精神など、負けてしまえば意味がないと無視され続けてます。 特に憲法9条を守れという方々が公選法を守りません。」との回答でした。
選挙違反とわかっていても、「勝つためには犯罪を犯しても構わない!」と思われる節も散見はされるものの、その根底には米国占領下におけるアメリカ式選挙に感化され踏襲されているのかもしれません。
選挙違反にせよ基地反対派の妨害にせよ、こうした違反行為を打破するためには、公安警察の目的である逮捕を足がかりとした事情聴取や押収資料からの情報収集・内情分析にメリハリをつけ、沖縄県警刑事部が司法警察員として正義を執行できる環境作りが必要でしょう。
そのためには内閣情報会議や合同情報会議で忌憚なき意見交換、資料開示と共有、是々非々で捜査方法や取り締まりの段取りを議論、協力し破防法適用なども真剣に論ずる時期に来ているのかもしれません。
(文=新日本帝國/政治・社会ジャーナリスト)