1月20日朝、河野太郎・内閣府特命担当大臣が自身のTwitter上で、「うあー、NHK、勝手にワクチン接種のスケジュールを作らないでくれ。デタラメだぞ。」と発信し、物議を醸している。
NHKが発したワクチン接種のスケジュールとは、「2月下旬めどに医療従事者(約1万人)、3月中旬めどに医療従事者など(約300万人)、3月下旬めどに65歳以上(約3600万人)、4月以降に基礎疾患ある人などを優先に順次、早ければ5月ごろから一般の人に接種開始する」という案を示したものだ。
果たして、NHKはまったく根拠のない情報を流したのだろうか。全国紙の社会部記者は、こう語る。
「河野大臣は『デタラメ』と言っていますが、実際に厚生労働省では上記スケジュールを念頭に置いているようです。ワクチンの輸入、医療機関や医療関係者の確保、各自治体との調整など、実務的な要素を勘案して、昨年のうちにある程度のスケジュールを組んでいました。全国への輸送方法や保管方法、接種会場の確保、接種の実施手順や副作用の管理など、検討課題も多く残っていますが、実現可能性などを考慮すると、概ねNHKが発表したようなスケジュールになると考えられます」
NHKの発表と似た内容を、新聞社やほかのメディアも報じている。
「政府が新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、医療従事者や高齢者、基礎疾患がある人への優先接種に続く一般の人への接種開始を5月ごろと想定していることが分かった。政府関係者が19日、明らかにした」(19日付共同通信社記事)
これに対しても河野氏は「いや、ワクチン担当になって昨日の今日で、まだ想定していない」と言及。さらに、「新聞各紙が『政府関係者』なる者を引用しているけれど、全く根拠のないあてずっぽうになっている。信用しない方がいいよ」と述べ、報道を全面的に否定している。
「ワクチン担当大臣に就任した河野氏は、『国民が安全で有効なワクチンを一人でも多く、一日でも早く接種できるよう全力を尽くす』と意気込みを語っており、おそらく可能な限り上記スケジュールを前倒ししたいと考えているのでしょう。医療関係者→高齢者や持病のある方→一般国民という大筋の流れは変わらないでしょうが、少なくともゴールデンウィークより前に接種し始めなければ、オリンピックの開催は不可能との見方もあるので、政府としても早期に接種したいと考えているはずです」(全国紙記者)
厚労省は昨年12月に、ワクチン接種に向けて体制の構築方法やスケジュールの目安を発表している(https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000708055.pdf)。先のNHKの発表も、これを基準に厚労省や一部の政府関係者が準備を進めているなかでもたらされた情報だろう。だが、河野氏が急遽、ワクチン担当大臣に就任し、このスケジュールも含めて全体を洗い直すことになった。
河野氏は、菅内閣にて行政改革・国家公務員制度担当大臣に就任して以降、異例の速さで次々に改革を実行してきている。ワクチン接種においても、厚労省の官僚が組み立てたスケジュールを大幅に上回る速さで実現できるだろうか。
(文=編集部)