もう、この親子に“和解”の二文字は存在しないのかもしれない――。
元横綱・日馬富士による弟子への暴行事件に端を発し、日本相撲協会との対立から2018年に親方引退に追い込まれた、元横綱・貴乃花。同年9月に貴乃花部屋が閉鎖されると、その翌月には元妻で元フジテレビアナウンサーの河野景子と離婚。現在では河野はタレントとして、美容品プロデュースなどを手がける会社の代表として活動を展開し、昨年12月にはエステティックサロン経営者と再婚するとも報じられるなど、新たな道を歩み始めている。
そんな河野が離婚前、貴乃花から家庭内で壮絶なモラハラを受けていたと、2人の長男で靴職人、アーティストの花田優一氏が告発している。貴乃花と優一氏といえば、18年に「週刊文春」(文藝春秋)の記事『<長男>優一に花田を名乗る資格なし』内で貴乃花が優一氏への批判を展開して“決別”を宣言するなど、これまでたびたび親子間の確執が注目を浴びてきた。
今回、優一氏は2月1日付「週刊女性PRIME」記事のインタビューに応じ、アルコールに依存していた貴乃花が「河野の人格を否定するような言葉」(同記事より)を浴びせたり、「アツアツの料理を母に投げつけ」(同)たりしていたという。その後、優一氏は妹2人と河野を連れて家を出て、貴乃花と別々の生活を送っていたが、優一氏が突然現れた貴乃花に路上で髪をつかまれ殴られたりといった暴行を受けたこともあったという。
「フジテレビの人気アナウンサーだった河野が貴乃花と結婚したのは、貴乃花が横綱に昇進した直後の1995年でしたが、結婚を機に河野はメディアの仕事からきっぱりと足を洗い、貴乃花が部屋の親方になって以降は、“おかみさん”として経理の仕事や多くの支援者への対応などに奔走し、部屋の運営を取り仕切っていました。その一方、3人の子どもを育て上げたわけです。
3年前に貴乃花と相撲協会の対立が連日メディアを騒がせているときも、河野は講演などで常に貴乃花を擁護する発言を繰り返していたので、家庭内がこれほど壊れていたというのは、ちょっと驚きです」(スポーツ紙記者)
貴乃花は離婚後もメディアなどで、河野への感謝の言葉を述べる機会も多く、昨年に河野の再婚報道が出た際も「これから幸せでいてもらいたいなと心から思っています」などと祝福のコメントを寄せていた。その一方、離婚後に貴乃花の代理人から河野のもとに、かつて家族で住んでいた自宅を退去するよう通達があり、河野は家を追い出されたこともあったという(前出「週刊女性」記事より)。
「貴乃花は離婚後の一時期、頻繁に知人のタニマチ筋との会食の場に顔を出し、お酒を飲んで『景子が悪い』『離婚原因は妻』などと話していたようです。表では体裁を見繕って河野に感謝の言葉を並べる一方、心の内では複雑な感情を抱いているでしょう」(芸能界関係者)
父への意趣返し?
今回、優一氏が語った話がもし事実であるならば、“元大横綱”として、そして“家庭の父”として貴乃花の行動はモラルを逸脱しているとも受け取れるが、精神科医の片田珠美氏は、次のように優一氏の証言に疑問を投げかける。
「花田優一氏の話は、どこまで事実なのでしょうか? 父の貴乃花さんの所属事務所は、『完全に事実無根です。とても看過できる内容ではありません。ないものは本当にないので』と否定しているようですので、果たしてどちらの言い分が正しいのか、わかりません。
もしかしたら、優一氏による父の『虚言』『モラハラ』『暴力』の告発には、1月22日に行われたセキュリティー会社のオンライン会見で貴乃花さんが『息子は完全に勘当しております』と発言したことに対する意趣返しの側面もあるのではないでしょうか。記事によれば、この衝撃的な発言に優一氏は強いショックを受け、同時に憤りも覚えたということですので、復讐願望を抱いたとしても不思議ではないでしょう。
そもそも、優一氏がメディアに登場できたのは、“平成の大横綱”と呼ばれた父の貴乃花さんと元フジテレビアナウンサーの母の河野景子さんの知名度のおかげでしょう。両親とも有名人だったからこそ、優一氏はテレビにも出演できたわけで、普通、一人前とはいえない靴職人にそういうチャンスはめぐってきません。
ですから、優一氏は両親の知名度を利用して表舞台に出てきたともいえるわけです。それなのに、父から『勘当』という言葉が飛び出したら、今後の活動に支障をきたしかねません。そういう事態を防ぐには、『自分が悪いわけではない』と自己正当化する必要がありますが、そのために父を悪しざまに言って、『悪いのは父のほう』という印象を与えたかったのではないかと疑いたくなります。
必ずしも優一氏がそうだというわけではありませんが、精神科医としての長年の臨床経験から申し上げると、虚言癖の人が『自分は嘘をついてない』ことを強調するために、『あの人は嘘をついている』と他人のちょっとした嘘を告発することは少なくないのです。そういうケースを数多く見てきたので、優一氏の話がどこまで本当なのか疑わずにはいられません。
優一氏は父を告発しながら、同時に『(父は)最高に強くて、最高にカッコいい男だった。父のようになりたくて、ただただ憧れていました』とも話しています。もっとも、彼は父のようになりたいと願いながらも、なれませんでした。今後なれるかといえば、難しいというのが私の印象です。
靴をつくったり、絵を描いたりしているということですが、お客様との間にトラブルが絶えないという報道もありますし、タレント活動も中途半端のように見えます。ですから、どうしても父を超えられないという葛藤やコンプレックスを抱えており、それが今回の告発につながった可能性も否定できません」
実の長男と元夫の確執に、今、河野はどのような気持ちを抱いているのだろうか。
(文=編集部)