「沖縄振興交付金で運営される戦略的課題解決型観光商品等支援事業(以下、同支援事業)に、AKB48選抜総選挙が選ばれたということで、会場運営費などとして2800万円が出されたということです。時系列から見ていきましょう。同事業の公募が始まったのが今年の2月15日で、締め切りが3月18日。本審査が始まるのが3月29日で、採択事業を発表したのが5月18日です。
しかし、AKBが沖縄で総選挙を行うと発表したのは、3月20日なんですよ。つまり、同事業に採択されるはるか以前に、沖縄でやると発表しているんです。開催日が6月17日なので、5月18日の発表から準備しても間に合わない。そうすると最初からAKBありきで話が進んでいたとしか思えないです。穿った見方をすると、最初からお金が落ちるということを前提にAKB側が進めていた。あるいは、AKBは沖縄でやるということで粛々と進めていて、採択されればそのお金を充当しようとしたという説明も成り立ちます。
そうすると、新たな疑問が湧いてきます。今回、AKB総選挙は9回目。非常にビッグネームで、テレビ局もスポンサーもついている国民的なイベントなわけで、特定の事業資金を手に入れなくても十分に成り立つのに、なぜ交付金を入れたのかということには、相当な違和感があります」
さらに郭教授は、AKB総選挙が、沖縄振興交付金で運営される同支援事業の要件に不適合である可能性も指摘している。
財務省の思惑
一方、政治の視点からみると、興味深い背景が浮かんでくると指摘するのが、政治ジャーナリストの朝霞唯夫氏だ。
「問題になった国費は、政府の沖縄振興交付金です。今年度の交付金の予算は1358億円で、この使途については県の裁量に任されており、事業者が県に補助金の申請をし、県が振興策の一環だと判断すれば補助する仕組みです。“第3の森友問題”になる可能性があるとしたら、内閣府が直接県に対して『補助申請を早急に処理しろ』とか、事業者が申請する際、県に対して秋元氏と安倍首相の関係を説明し、速やかに申請を受け付けてほしいと要求するケースですが、数千万円単位の補助申請で秋元氏や安倍首相がそこまで関与するとは考えにくいです」
しかし、“大した問題ではない”のかといえば、そうともいいがたい面があると朝霞氏はいう。