その疑問を「晋和会」に問いただしてみたところ、12月8日、「安倍晋三事務所」として以下の回答が来た。
「税金が使われて県議の政務活動費と比較すること自体間違っています。ご指摘の書籍購入に関しては当時各メディアから質問を受けていますが、政治資金の個別の問題については回答を控えさせていただいております」
「税金が使われて県議の政務活動費」というのは「税金が使われている県議の政務活動費」の誤りだろう。回答ができないということは、購入したのが『約束の日』であることを否定できないということではないのか。立教大学経済学部の郭洋春(カク・ヤンチュン)教授は語る。
「2つのことが指摘できます。ひとつは政治資金規正法において、政治家もしくは政治団体がお金の使途について、本来使うべきところじゃないところにも使えるような仕組みになっているという問題です。たとえば領収書ひとつとっても、宛名を書かなくていいことになっている。一般国民は本を買ったら領収書には書名もすべて書きます。パソコンなどの備品に関しても機種名や単価を全部書いて、1個1個検品を受けて使用します。一方、政治資金規正法では、政治団体は5万円未満だったら領収書もいらないし、宛名もいらないということになっている。
2つ目に、同じ本を大量に購入するという問題。これに関しても、たとえば私の大学では同じ本を買えるのは3冊から5冊までです。それ以上大量に買うということは、個人が読むのではなくて、どこかにバラ撒くだろうということになる。それは絶対に認めていないのです。今回のように何千冊ということになると、有権者に配布している可能性が高い。もしそうであれば政治資金規正法違反になりますが、今の政治資金規正法では、それを追跡できない。
たとえば大学では、買った本の所蔵場所はどこか調べられ、きちんと研究室に置かなければいけないなど、規則が決まっています。以前、松島みどり議員が自分の名前の入ったうちわを配って法務大臣を辞任しましたよね。このときは、お祭りという衆目の場所で配ったから問題になったわけです。本だと組織がまとめて買って一人ひとりに渡せばわからないので、非常に姑息ですよね。うちわと本とどちらの罪が重いかといえば、明らかに本のほうが罪が重いです。
まず政治資金規正法をしっかり変えていくということが大事です。政治団体というのは、政治資金規正法の欠陥をよく知っています。そうであるがゆえに、こういうことを平気でやるわけです。多くの国民からしたら、自分たちが日頃まじめにやっているのはなんなんだ、ということになってしまいますよね」