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安倍首相の政治団体、安倍賛美本を約1千万円分購入か…有権者に配布なら違法行為

文=深笛義也/ライター
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政治家としてのモラル

この爆買いによって、『約束の日』は紀伊國屋書店、丸善書店、リブロなど都内有力書店で売り上げ1位となり、それを幻冬舎が広告にしている。安倍首相と幻冬舎の見城徹社長の親密さは有名だが、幻冬舎もこれによって利益を得たわけだ。

「行列ができる店には行きたくなるのと同じで、1位になったものは多くの人が欲しがります。実際の人気でそうなっているのだったらかまわないけれど、政治団体が操作して、そういう状況をつくっているのであれば問題です。お友達を贔屓するという安倍政治の体質というのは、この頃からあったのだと感じます。民主党政権が崩壊して第2次安倍内閣が成立したのが12年12月。この時期は安倍首相が復活しようとしていた時です。安倍人気というものを支えるために大量購入したと思われても仕方がないですし、政治家のモラルという観点からしてもおかしいですね」

第1次安倍内閣では1年間で6名の閣僚が不祥事で交代した。そのことが『約束の日』ではこのように語られている。

「大臣の不祥事として安倍内閣を直撃した事務所経費という問題が、それまで疑惑追及の対象となったことはなかったのである。政治と金の問題は、この時までは、基本的には収賄、つまり不透明な入りの問題に限定されていた。税務署に届けられ、違法を指摘されていない支出細目が問題視されるなどということは、それまでなかった。一言で言えば、安倍官邸の身体検査が甘かったのではなく、閣僚バッシングの基準が突如変わったのである」

支出が不適正であれば追及されるのは当然だ。それまで看過されていたことが俎上に上がるようになったのなら、政治倫理がより厳しく問われるようになったということで、歓迎すべきことではないか。

「疑惑追及が厳しくなったということは、それだけ法律の網の目を潜って、おかしい使い方をする人が増えているからであって、政治家の倫理観のなさをまずは反省すべきです。企業にはコンプライアンスが求められているのに、政治家にはコンプライアンスがない。政治資金規正法は、政治家のための法律。政治家が国民の税金を自由に使えるようにしている制度ですよ」(同)

『約束の日』では、安倍首相の掲げる「戦後レジームからの脱却」を「革命」とまで呼んで賛美している。

「戦後のレジームをつくったのは自民党です。そのなかで自分たちは政権も担ってきたし、多くの利益を享受してもきたわけです。それを変えるというなら、自分たちがやってきたことをきちんと批判すべきで、それをしないで、これからやることが正しいというのは、ちょっと変な論理になります。今、安倍政権が推進する国家戦略特区などでも、よく岩盤規制の打破などといいますが、その規制をつくったのは自民党です。たとえば、米市場の開放を守ろうとしているJAが悪いというようなことを言っていますが、あなたたちに責任はないんですか、と言いたくなります。常に敵をつくることによって、それと闘って変えていく自分たちが正しいというような姿勢を見せるのですが、自分たちが今まで何をやっていたのかというのは、一切問わない。反省とか謝罪が一切ないっていうのが不思議です」

安倍政権発足のタイミングと合わせて、安倍首相の事務所による擁護本の爆買いがあったことを今一度、問うべきだろう。
(文=深笛義也/ライター)

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