――エレベーターが止まったら、自宅への出入りが重労働になってしまいますね。
宍倉 地震で停電と断水が発生したら、復旧するまでは高層階から階段で往復しながら水などを運ばなければならないという手間が発生します。平時には眺めが良くて快適でも、震災時にはタワーマンションならではの不便が発生するのです。実は今回の地震でも、被災地のタワーマンションに住む知人から、大変な思いをしていると聞かされました。
――地盤のチェックには、どんな方法を取ればよいのですか。
宍倉 例えば防災科学技術研究所のホームページを検索すれば、揺れにくさ、揺れやすさを確認できます。自治体によってはハザードマップの一つとして揺れやすさマップをホームページで確認できる場合があります。
南海トラフ地震との関連性
――ところで、今回の大阪北部地震と南海トラフ地震との関係をどのように見ていますか。
宍倉 南海トラフ地震は100~200年に1回発生する地震です。発生時期が近づくと西日本の内陸部で地震活動が活発になるという考えがあり、南海トラフ地震との関係を指摘する専門家もいます。今回の地震がその活動の1つなのかもしれませんが、実際のところよくわからないというのが正直な意見です。
――大地震が発生すると、必ず首都直下型地震の懸念がクローズアップされます。
宍倉 私も「首都直下型地震がいつ頃発生しそうか?」という質問をよく受けます。南海トラフと同様に、1923年の関東大震災を起こした地震は南関東沖を震源に200~400年に1回発生しており、その発生が近づくと内陸部で地震活動が活発になるという考えがあります。かりに200年に1回とすれば、単純に計算して次の発生まで約100年なので、そろそろ活動期に入りつつあるとも考えられます。このところ群馬県南部など今まであまり地震の起こっていなかった内陸部で地震が発生していますが、いずれにせよ政府の地震調査委員会により、今後30年以内に発生する確率が70%という評価も発表されているように、首都直下地震はいつ起きても不思議ではありません。
――ありがとうございました。
(構成=編集部)