第4次安倍改造内閣が2日午後、発足した。安倍晋三首相は「全員野球」と意気込むが、新大臣のなかには“よくない筋”と交際する人物もおり、来年2~3月には安倍内閣は立ち往生になり、下手をすれば統一地方選を戦えず“安倍降ろし”が始まる可能性もあるとみているのが、政治ジャーナリストの朝霞唯夫氏だ。秋の臨時国会から来年の通常国会までの政局について、朝霞氏に聞いた。
――新内閣の顔ぶれを見た感想は?
朝霞唯夫氏(以下、朝霞) まず印象を言えば、“大臣待機組の在庫一掃セール内閣”。点数をつければ20~30点といったところです。私は来年の参院選後に安倍内閣は失脚すると当初見ていましたが、今回の組閣名簿を見て、もっと早まるのではないかという気がします。とにかく今回新たに入閣する議員のなかには問題のある人が多いので、失言などで早晩内閣は立ち往生になりかねません。
小野寺五典前防衛相は、今後のキャリアアップを考慮した上でいったん身を引く意向を固めていたと伝えられています。その後任には、今や数少ない防衛族といわれている岩屋毅氏に白羽の矢が立てられました。ところが防衛産業関係者によると、業界は岩屋氏を見限っている。それでも安倍首相としては選択肢がないため、岩屋氏を起用したというのが真相のようです。防衛省は自民党の防衛族議員の弱体化に頭を抱えています。岩屋氏は、安倍内閣のアキレス腱になるかもしれません。
今回の総裁選で安倍首相陣営から農水相を辞任するよう圧力を受けたと発言した齋藤健氏が切られ、吉川貴盛氏が後任に収まりました。吉川氏は「北海道出身だから農水相」という判断かもしれませんが、安倍内閣の鬼門は農水相です。齋藤氏は極めて有能な農水相でエラーがなかったと永田町では評価されており、実直に務めていました。総裁選のパワーゲームの犠牲者になったのです。吉川氏は農水行政に明るいとの評もありますが、未知数の部分があまりに多く、不安は隠せません。
そして、渡辺博道復興相ですが、竹下派で当選7回という点以外、際立った点が見当たりません。東北出身者でもないのに復興相でうまくいくのかという疑問があります。第2次安倍内閣以降、復興相関係で失脚している人がおり、ここも鬼門です。スピード感のある復興を進めるためには、復興や防災の専門知識が必要ですが、渡辺氏が詳しいという話は聞いたことがありません。
政権内の不協和音
――片山さつき地方創生相はどうです。