朝霞 片山氏は「モリカケ」問題の時に自民党のスポークスマンとして、野党に反論を展開していました。その論功行賞によって初入閣しました。上昇志向で勝ち上がってきた人なので、頭は切れます。特命大臣なので片山氏自身は良かったと思っているでしょう。しかし、安倍内閣では女性大臣が1人だけというのは問題です。安倍首相は「女性活躍が政策の一丁目一番地」と言いつつも、その場その場の考えでしのごうということです。
片山氏の存在は目立ちますが、小池百合子元環境相時代のクールビズのように実績を残せるかはわかりません。以前から“失言王”とも呼ばれており、片山氏の失言をメディアは狙っています。党務の問題では、片山氏と犬猿の仲である稲田朋美元防衛相が党筆頭副幹事長として復活したことが、政権内の不協和音を拡大する可能性があります。
――柴山昌彦文科相は?
朝霞 彼は自民党の期待のホープですが、いきなり文科相は意外でした。すごく荷が重いし、本来は教育行政に精通している人物を登用すべきでした。答弁で不適切発言をする可能性もあります。
憲法改正は困難
――党人事はどうですか。
朝霞 党務のほうは、それなりの陣を敷いています。側近の下村博文氏を党憲法改正推進本部長にあてましたが、安倍首相氏が本気で憲法改正を行うという意欲の表れでしょう。とはいえ、文教族の下村氏は憲法の専門家でもないし、公明党との調整にも不安を感じさせます。加えて、秋の臨時国会は、北海道地震や台風21号、西日本豪雨の復旧・復興などを加速するため、補正予算を成立させることが先です。これは与野党ともに異論はないでしょう。
そして動物愛護法は5年に一度の改正年で、臨時国会で審議されます。長くても6週間で臨時国会を閉じますから、憲法改正を議論している時間はありません。公明党は、自民党案を提出することは受け入れても、発議までいけるかといえば別問題という考えです。提案はしても継続審議になります。
また、来年の通常国会では来年度予算の審議はスムーズに進みません。ギリギリに予算案が可決された後、すぐに統一地方選挙があり、現天皇の退位、新天皇の即位があります。そして会期末の頃には、参院選突入ムード一色となります。ですから、憲法改正を審議する時間がないのです。
統一地方選挙における知事や市長などの首長選挙も注目点です。今は相乗りですが、もし与党vs.野党の構図となり、野党が勝てば、地方から安倍降ろしが始まります。
――地方には、アベノミクスが行き渡っていないという不満がある。