9月30日に沖縄県知事選挙で玉城デニー氏が当選したことに関し、当サイトから以下の質問をいただいた。
(1)玉城氏の知事就任が日米関係、日本の安全保障にどのような影響を与えるか
(2)日本政府と沖縄の関係にどのような影響を与えるか
(3)尖閣諸島はじめ日本近海への進出が目立つ中国の動向と日中関係に、どのような影響を与えるか
私の答えは、「ほぼなんの影響もないでしょう」という素っ気ないものだったが、なぜ私がそのように判断するか、を説明することは、読者諸賢が状況を理解される一助になるかもしれないと考え、少々詳しく書面で回答することとした。
(1)日米関係、日本の安全保障に与える影響
仮に今後、名護市辺野古の飛行場建設が遅れたり、中止となった場合、当面、米海兵隊のヘリコプターとオスプレイの部隊「第36海兵航空群」は現在の普天間基地の使用を続けるから日米関係に影響しない、と考える。
もともと辺野古の基地建設は米海兵隊が望んだものではない。1995年に発生した海兵隊員ら3人による強姦事件の後、橋本龍太郎首相が太田昌秀知事に「まずやるべきことは何か」と問い、「普天間基地の廃止」の答えを聞いて、米国に極度に遠慮する外務省を通さず、直接モンデール駐日米大使と会談。5年から7年の間に普天間飛行場を返還することを米国に同意させた。
当時の防衛庁は、第36海兵航空群を米空軍嘉手納基地に移すことを原案としていたが、米空軍は「低速のヘリコプターと高速の戦闘機を同居させると航空管制が難しく、危険がある」と拒否した。だが、那覇空港では大小の旅客機や航空自衛隊の戦闘機、海上自衛隊の対潜哨戒機、陸上自衛隊、海上保安庁、沖縄県警のヘリコプターなど各種の航空機が狭い空港に離発着していたし、米本国の海兵隊航空基地でも戦闘機とヘリは一緒にいた。当時の嘉手納の米空軍は巧みに地元自治体を懐柔し、反基地運動もほとんど起きていなかったが、海兵隊が移ってくるとなれば反対運動が起き、空軍も巻き添えになっては迷惑、というのが本音だったようだ。嘉手納の周辺の自治体も米空軍に同調し、海兵隊の移駐に反対の意向を示していた。