国際社会の制止を振り切って核実験を強行した北朝鮮と、従軍慰安婦問題の「日韓合意」や「徴用工」など、過去の取り決めを反古にする姿勢を見せる韓国。今、日米中をはじめとする世界は朝鮮半島の2国に振り回されている。
前回、前々回の記事では、『朝鮮半島はなぜいつも地獄が繰り返されるのか 中国人ですら韓民族に関わりたくない本当の理由』(徳間書店)の著者で日本に帰化した元中国人の石平氏の話をお伝えした。
今回は、10月に中国共産党第19回全国代表大会が開かれる中国について聞いた。
「死ぬまで権力を握る」習近平の政敵潰し
5年に一度の党大会を控える中国では、「ポスト習近平」が取り沙汰されている。当初、その地位に近いとみられていた孫政才氏が7月に「重大な規律違反の疑い」を理由に重慶市党委員会書記を解任され失脚すると、習近平国家主席はその後任に自身の側近である陳敏爾氏を起用した。今後は、習主席への権力集中が強化されるのか。
前国家主席の胡錦濤が自分の後継者として育ててきたのが、共青団出身で現在の首相である李克強です。その李克強の対抗馬として江沢民派が出してきたのが習近平。この政争に江沢民派が勝って、習近平が中国共産党総書記になりました。そして、妥協案として李克強が首相になり、今の体制ができたわけです。
しかしながら、胡錦濤は退任前に子飼いの幹部を何人も中央政治局に送り込んでいました。胡錦濤が期待しているのは、習近平が退陣した後に自分の子分が次の政権を握ること。一方で、政権の座についた習近平は江沢民派潰しを始めました。なぜかといえば、そのままでは習近平は永遠に江沢民から『お前は誰のおかげで総書記になったんだ』と言われるからです。
習近平は、盟友の1人で経済学者の王岐山を中央規律検査委員会の書記に就任させました。同会は、日本の江戸時代でいえばお目付役。党内の腐敗調査に関しては絶大な権力を持っていて、超法規的手段で党幹部全員を取り調べることができます。
そして、王岐山は江沢民派の幹部をほとんど潰しました。その最後となったのが、50代で失脚した孫です。彼は江沢民の秘蔵っ子で、習近平を推したのも実は彼でした。孫の失脚によって、習近平の江沢民派潰しは完了したのです。
では、今の権力構造はどうなっているか。習近平の子分は中枢部には1人しか育っておらず、せいぜい地方の主要幹部止まり。中央政治局の大半を占めているのは胡錦濤派です。要は、習近平が江沢民派を潰すために胡錦濤派と連携しなくてはならなかったのです。
次の党大会で中央政治局常務委員の入れ替えが行われ、おそらく半分程度は胡錦濤派、あとの半分は習近平派になるでしょう。つまり、習近平派と胡錦濤派の連合政権が誕生するわけです。
しかし、問題はそこから。胡錦濤派が自身の後を狙うため、いずれ習近平は胡錦濤派を潰さなければなりません。それができて初めて、習近平は絶対的な権力者の地位を手に入れられるわけです。習近平は、胡錦濤のように2期10年で任期を終えて引退するという考えはありません。死ぬまで権力を握るつもりです」(石平氏)
『朝鮮半島はなぜいつも地獄が繰り返されるのか 中国人ですら韓民族に関わりたくない本当の理由』 なぜ韓民族は約束を守れないのか? どうしてすべて他人のせいにするのか? 朝鮮半島に内紛が絶えないのはなぜか? 元中国人の著者だからわかる韓民族の歴史的悪癖とその背景。