「それは、中国の歴史観と関係があるのです。近代以前、中国はアジアの頂点に立っていました。しかし、近代以降、中国は西洋列強や大日本帝国に侵略されて100年以上もいじめられたわけです。中国人が歴史を語るとき、アヘン戦争から始まります。『あの屈辱を二度と味わいたくない』というわけです。
では、どうするか。軍を強くしよう、国を強くしよう、我々が支配しよう……ということになる。アメリカやイギリスが『そんな政策はダメだ』と言っても、『何を言っている。お前たちだって昔はやったじゃないか。今度は我々の番だ』というわけです」(同)
中国からは、しばしば「沖縄は中国の一部だ」という声が上がる。やはり、将来的に支配の目標に入っているのだろうか。
「当然、視野に入っています。中国にとって、沖縄の米軍基地は目の上のたんこぶです。米軍を沖縄から追い出さなければ、海洋進出の計画が完遂できないという事情があります。また、沖縄が切り離されれば日本は弱体化するでしょう」(同)
沖縄が視野に入っているとすると、東シナ海の尖閣諸島は、より明確な獲得目標になっているのだろうか。
「一帯一路などの経済政策は、何をもって成功とするのか、わかりづらいですよね。しかし、仮に尖閣諸島を手に入れたということになれば、目に見える業績です。何の説明もいりません。
尖閣諸島の現状は、もう半分ぐらい中国に取られているも同然ではないでしょうか。中国の公船が好き勝手に入ってきて、日本は強く追い出すこともできない。まだ上陸はしていませんが、日本だって上陸していないわけですから。
日本も中国も、尖閣諸島の周辺を船でうろうろしているだけ。だから、すでに日本は施政権を半分は失っているんですよ。尖閣諸島に日米安保条約が適用される前提は『施政権が日本にある』ということですが、それが半分は反古になっているわけです」(同)
北朝鮮をめぐる一連の問題でアメリカが中国を頼り続けるとしたら、仮に中国が尖閣諸島を支配しても、米軍は動かないという可能性すらある。ミサイルばかりに気を取られていると、取り返しのつかない事態になりかねない。
(文=深笛義也/ライター)
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