北朝鮮の脅威が増している。今年に入って幾度となく弾道ミサイルを発射している上、9月3日には過去最大規模の核実験を強行した。それを受けて、国際連合の安全保障理事会は経済制裁を強化する決議を採択した。
また、韓国の文在寅大統領は、かねて従軍慰安婦問題における「日韓合意」の見直しを主張しており、就任から100日目の8月17日には「徴用工」の問題も蒸し返す姿勢を見せた。日本統治時代に工場や鉱山に動員された朝鮮半島出身者の徴用工について、「日本に賠償を求める個人請求権がある」という新見解を唱えたのだ。
文大統領は後に発言を修正したが、反日感情が高まる韓国では慰安婦像が増え続け、ソウルを走る5台のバスの一席に慰安婦像が鎮座するまでになった。徴用工像も、ソウルと仁川の2カ所に設置されている。
朝鮮半島の2国は、なぜ国際社会の常識が通用しないのか。『朝鮮半島はなぜいつも地獄が繰り返されるのか 中国人ですら韓民族に関わりたくない本当の理由』(徳間書店)の著者である石平氏に聞いた。
中国の四川省で生まれた石平氏は、北京大学を卒業後、神戸大学への留学を機に日本に住み始める。幼い頃に経験した文化大革命で当時の毛沢東主席の暴政に疑問を感じていた石平氏は、1989年に起きた天安門事件での中国共産党の党利党略の対応に絶望する。そして、「むしろ日本に孔子や論語の思想が生き続けている」と感じ、2007年に日本に帰化した。
そんな石平氏は、朝鮮半島の現状をどう見るのか。まずは、過去の合意を蒸し返す韓国について聞いた。
「近代文明国家になっていない」韓国の現状
「我々の基準からすれば、韓国は近代文明国家になっていないのです。近代文明国家であれば、一度合意したことは、たとえ自国に不利なものであっても最後まで守るのが常識です。日本の場合、明治政府になっても江戸幕府が外国と合意したことをきちんと守りましたよね。不平等な条約があったら、明治政府は改正に向けてものすごく努力しました。決して、江戸幕府が合意したものをすべてひっくり返すということはしなかったわけです。
たとえば、企業間の取引でA社とB社が契約を結び、しばらくしたらA社の社長がB社の社長に『この前の契約、うちの社員たちが受け入れる気持ちがないから破棄する』と言う。そんなこと、ビジネスの世界ではあり得ないでしょう。話にならないし、A社と取引をする企業はなくなりますよ。韓国がやっているのは、それと同じことです。
そもそも、1965年の日韓基本条約で日本は韓国に約8億ドルの経済協力を行い、両国間の請求権は最終的に解決しています。それにもかかわらず、国家間の合意が政権交代によって覆されてしまうのです。朴槿恵政権で合意したものを新しい政権が見直すということになると、国家間の合意など永遠にできません。しかし、韓国は平気でそれをやるんですよ」(石平氏)
『朝鮮半島はなぜいつも地獄が繰り返されるのか 中国人ですら韓民族に関わりたくない本当の理由』 なぜ韓民族は約束を守れないのか? どうしてすべて他人のせいにするのか? 朝鮮半島に内紛が絶えないのはなぜか? 元中国人の著者だからわかる韓民族の歴史的悪癖とその背景。