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その結果、やむなく辺野古の海兵隊シュワブ基地とその付近の海面を埋め立て、新基地を建設することになった。今日、日本政府だけでなく、米政府も「辺野古への移転が唯一の案」と言っているが、米国は一応、普天間返還に合意した以上、公にはそう言うしかない立場だ。だが辺野古建設が中止となれば、少なくとも当面普天間を使い続けることになるから、米国側にとってはそれならそれで結構、というところだろう。
辺野古問題の本質は普天間問題であり、仮に辺野古飛行場の建設が阻止されても、沖縄県民は「万歳」を叫ぶわけにはいかない。市街地の中、学校に隣接する普天間基地が残れば元の木阿弥、20年有余の紛糾は泰山鳴動して鼠一匹も出ない結果となるからだ。
(2)日本政府と沖縄の関係に与える影響
「日本政府は従来の方針を変えにくく、漫然と沖縄県当局とのいさかいを続けることになろう」と考える。
玉城知事は翁長前知事の方針を継承し、あらゆる法的措置と行政権を駆使して、辺野古基地の建設を阻止しようとするだろう。他方、日本政府も過去約20年続けてきたように、法と行政権をもって争い、辺野古基地の建設は遅れ、米海兵隊はその間普天間基地使用を続けられることになる。
県外移設は望ましいが、それも海兵航空群の移駐だけでは済まず、それに乗る歩兵部隊も付近に駐屯させる必要があるから難しい。
おそらく、唯一の適地は長崎県の海上自衛隊大村航空基地(旧長崎空港)だ。近くの佐世保には陸上自衛隊の相浦駐屯地があり、佐世保港は米海軍の強襲揚陸艦ワスプ(4万500トン)など4隻の揚陸艦の母港だ。南西諸島防衛を主目的とする相浦の陸上自衛隊水陸機動団をキャンプシュワブに移し、そこにいる米海兵第4連隊(実力は一個大隊800人程度)を相浦に駐屯させれば、米海兵隊は揚陸艦、航空部隊、地上兵力の3者を一カ所に集められ、迅速な出動が可能となる。一個大隊程度の訓練は熊本県の大矢野原など、中規模の演習場で行える。
これなら米海兵隊も歓迎しそうだが、親米、親自衛隊の雰囲気が濃い佐世保でも、海兵隊の移駐には市民が難色を示しそうだし、海上自衛隊は嘉手納の米空軍と同様、地元との軋轢を案じ、この案には否定的だ。
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