関西国際空港を運営する関西エアポートは9月14日、台風21号の影響で閉鎖していた第1ターミナルとA滑走路の運用を10日ぶりに再開した。国際線、国内線の計200便が運航し、通常時の4割程度に回復した。第1ターミナルの全面再開は21日になったが、これで旅客便は台風前の通常時と比べて約9割戻った。
だが、完全復旧にはほど遠い状況が続く。国際貨物エリアは停電や建物の損傷で復旧の見通しが立たないほか、空港と対岸を結ぶ連絡橋の工事は着手のメドが見えてきた段階だ。
関空は旅客数、貨物取扱量ともに国内3位になっており、影響は関西経済にとどまらない。
1994年、関空は24時間運用の国際空港として開港した。近隣のアジア諸国は大規模な国際空港の整備を進めてきた。これに対して日本は、成田空港が騒音抑制のため深夜早朝の発着ができない。そこで関空は当初からグローバルな競争力を持った拠点空港として期待された。
国が100%出資する関空の運営会社・新関西国際空港(新関空会社)は、オリックスと仏空港運営大手、ヴァンシ・エアポートの企業連合が設立した関西エアポートに、関空と大阪国際(伊丹)空港の運営権を売却した。
運営権売却は、安倍晋三政権が掲げる成長戦略の目玉のひとつ。関空はPFI(民間資本を活用した社会資本整備)のモデルケースとなった。
新関空会社は両空港の所有権を保持したまま、施設の運営権を売却した。コンセッション方式と呼ばれる方式で、新関空会社は44年間、年490億円、総額2兆1000億円超の運営権料を受け取り、海上空港の建設に要した巨額の借入金の返済に充てる。
2017年1月、LCC(格安航空会社)専用の第2ターミナルビルが開場。関空はインバウンド(訪日外国人観光客)の日本への玄関口として存在感が高まった。