11月30日、神戸市北区にある施設で五代目山口組・渡辺芳則組長の七回忌法要が、六代目山口組によって執り行われた。午前10時半過ぎから始まったとみられるこの追善供養には、六代目山口組・司忍組長をはじめ、出席可能な同組直参が参列し、直系組織の幹部まで合わせると約150人が顔を揃えたとみられている。
「11時40分過ぎに司組長が斎場を後にしたところを見ると、法要は約1時間ほどだったのではないか。トラブルなどは一切なく、滞りなくしめやかに営まれていた模様です」(地元記者)
ただ、法要に滅多に姿に見せることのない報道関係者の姿が、今回は散見されたという。
「現在、六代目山口組の上層部では、近日中に発売予定のある本について、ピリピリしているという話がある。その噂を聞きつけたメディア関係者が、この本に対する反応をうかがおうと、取材しにきていたのではないか」(六代目山口組関係者)
現在、業界内で噂に上がっている本とは、元五代目山口組若頭補佐を務めた親分の本で、同時期に2冊発売される予定なのだが、その内の1冊が特に刺激的な内容になっているというのだ。
「発売元の出版社が、徹底した緘口令を敷いていたために、なかなか内容が伝わってきませんでしたが、漏れ伝わってくる話によれば、これまで決して語られなかった禁断の事柄についての記載があるようです。それだけに、業界関係者の間で話題になっているのではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)
翌12月1日の渡辺組長の祥月命日には、神戸山口組・井上邦雄組長らが、渡辺組長が眠る霊園へと墓参に訪れたことが捜査関係者らによって確認されている。
「井上組長は毎年墓参に訪れているが、今回も近隣住民を配慮してだろう、早朝に訪れていた」(捜査関係者)
そして、任侠山口組では、渡辺組長に対する法要や墓参は行われていないとみられているのだが、現在、12月13日に予定されているといわれている事始め式で、なんらかの発表があるのではないかと囁かれている。
「これまで、既存のヤクザ組織体制からの脱却を目的に排除してきた盃事(親子や兄弟の契を交わすための儀式)を、ついにやるのではないかという噂もある。ただ、任侠山口組系の幹部に聞いても、まだ何も知らされていないという話だ」(業界関係者)
分裂騒動に終止符を打ちかかっているとみられる六代目山口組。盤石な体制のもと、独立路線の歩みを続ける神戸山口組。新たな組織改革を取り入れながら、画期的な組織運営を行う任侠山口組。それぞれの組織が平成最後となる師走に入った。
(文=沖田臥竜/作家)