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沖田臥竜コラム

神戸山口組が新人事を断行…空席だった「若頭代行」についたのは、やはり山健組組長だった

文=沖田臥竜/作家
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神戸山口組が新人事を断行…空席だった「若頭代行」についたのは、やはり山健組組長だったの画像111月8日、定例会が行われた神戸山口組本部事務所

 神戸山口組が、かねて噂に上がっていた新人事を11月8日の定例会で発表した。

 当コラムでもすでに報じていたが【参考記事「高松で刺傷事件…六代目山口組に緊張」】、今回発表された人事とは、任侠山口組・織田絆誠代表の離脱後は空席となっていた「若頭代行」に、五代目山健組・中田浩司組長が就任するというもの。同時に、若中から幹部へと、五龍会・青木和重会長が昇格を果たしたのだ。

「中田組長といえば、山健組一筋と言われている人物。神戸山口組・井上邦雄組長の後を継いで、山健組の当代となっただけに信頼も厚い。若頭代行への抜擢は、将来的な神戸山口組の体制を見据えた人事ともいえるのではないか」(業界関係者)

 一方で、幹部へと昇格を果たした五龍会・青木会長とは、いったいどういった人物なのか。地元関係者に話を聞いた。

「神戸山口組結成後、勢力が手薄の地区といわれたひとつが北海道だった。現に結成後まもなく、北海道の神戸山口組系組織が六代目山口組へと復帰している。そんななかで、北海道で盤石な地盤を誇る四代目誠友会から離脱し、神戸山口組へと参画したのが、のちの五龍会会長となる青木会長。その際には、六代目山口組系列と神戸山口組へと移籍した五龍会サイドとの間で激しい衝突も起こったが、それでも五龍会は組織を維持してみせた」

 そうした経緯が評価され、今回の幹部昇格につながったのではないかというのである。

 中田組長が若頭代行に就任し、青木会長が幹部へと昇格。任侠山口組から六代目山口組への復帰勢力が増える一方で、神戸山口組としては組織力を強化させるために、新たな改革を行い始めたといえるのではないだろうか。

 筆者自身、この人事情報については早い段階で確かな情報筋から入手しており、冒頭でも触れたように当コラムで書き記している。だが、深く言及するまでに至らなかったのには訳があった。

 それは、ヤクザ組織の人事は、公式的に発表されるまで現実となるかどうかわからない面があるからだ。

 たとえば、池田組・池田孝志組長が昨夏、神戸山口組の最高顧問に就任して以来、現在に至るまで空席となっている神戸山口組舎弟頭の要職についても、何度か就任情報が流れたことがあった。だが、結果として現在も空席であることを見れば、それらはすべて誤報であったことが判然する。

 ただ、乱れ飛ぶ誤報には色分けすると2種類ある。噂があたかも事実として拡散されてしまうケースと、相手方の組織や関係者に揺さぶりをかけたり、動揺を誘ったりすることを目的として、意図的に流されるケースだ。特に後者はSNSの浸透で、誰しも簡単に仕掛けることができるようになってしまった。

「自分が知り合いにLINEで流した情報が、転送情報として、回り回って自分に戻ってくるなんてことはざらにある」(六代目山口組系関係者)

「紙爆弾」と呼ばれる怪文書においても同様だと、別の関係者は語る。

「反目関係にある人間や組織の誹謗中傷をLINEなどで書き、はじめに【転送情報】などと書いて、四方八方に送りつけていれば、誰の作成かなんて判別がつかない。なかには、それを信用してしまう組員だって出てきてしまう」(業界関係者)

 結果として、それが相手方の動揺を誘い、事を優勢に運ぶことにもつながっているというのだ。

「当局のヤクザに対する取り締まりは、これでもかというくらい強化され、暴力によって相手を制する時代ではなくなってしまいました。これからは、こういった心理作戦も戦術として活用されていくのではないでしょうか」(ヤクザ事情に詳しいジャーナリスト)

 それでも、どれだけ厳罰化が進んでも、根底では力こそが最大の武器とするのがヤクザである。乱れ飛ぶフェイクニュースに端を発し、いつ間違いが起こるとも限らない。なぜならば、いまだ六代目山口組の分裂騒動には、終止符が打たれていないからだ。

 組織を挙げての抗争事件は起きなくとも、いつかどこかで突発的な衝突が起きる可能性は否定できない。その危惧があるからこそ、警察当局による締め付けは緩む気配を見せていないのではないだろうか。

(文=沖田臥竜/作家)

沖田臥竜/作家

沖田臥竜/作家

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

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