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難関私大も定員割れ?来年の大学入試、狙い目の学部・競争率が上昇の学部は?

文=A4studio
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「Getty Images」より

 来年1月に大学入学共通テストを控え、大学受験の志望校選びが本格化してくるこの季節。都内私大の3割で定員割れが起きているともいわれており、日本私立学校振興・共済事業団が発表した「令和3年度 私立大学・短期大学等入学志願動向」では、本年度の全国の私立大学597校のうち、入学定員充足率(入学者数÷入学定員)が100%未満の学校が、全体の約46.4%にあたる277校もあったというのだ。昨年度の調査では593校の調査対象校のうち、100%未満が約31.0%にあたる184校だったことを考えると、定員割れがかなり加速している印象である。

 そこで今回では、来年度の大学入試での志望校選びのポイントや今年度との違いなどに関して、大手予備校・河合塾の教育研究開発本部主席研究員である近藤治氏に話を聞いた。

都内の有名私大も定員割れを起こしている理由は?

 大学の定員割れの原因はなんなのだろう。

「一番大きな理由はやはり受験人口の減少、18歳人口の減少です。今年度に比べて来年度の受験をする高校3年生は2万6000人も減少しています。加えて、浪人生の減少も大きいでしょう。一昨年度は、その翌年から初めて実施された大学入学共通テスト制度に切り替わるという危惧からか、浪人の道を選ばず現役志向で第二志望、第三志望の大学に入学する人が激増しました。それに加えて昨年度はコロナ禍の影響で、そもそも複数校受験することによる感染リスクへの警戒心、渡航禁止による留学生の減少も、定員割れが加速している理由の一つでしょう」(近藤氏)

 こうした定員割れは地方大学で顕著で、都内の有名私立大は元来無縁の問題と思われてきた。しかし近年は都内有名私立でも定員割れが起きている。

「明治大学も法政大学も3年連続入学定員充足率は90%台後半です。しかし、これは定員超過抑制を厳密に行ったからで、想定内でしょう。2016年頃から文科省は地方から大都市圏への若者流出を防ぐ名目で、大学の定員超過を非常に厳しく見ています。大学側は、入学定員充足率100%を大きく超えると文科省から助成金をカットされるなどの大きなデメリットがあるため、合格者をギュッと絞るわけですが、その基準を少し厳しめにしたため90%台になってしまったというわけです。ですからこれをして“深刻な定員割れ”と危惧するのは早計でしょう」

 では、地方大学の定員割れの実情はどうなのか。

「これはかなり深刻で、先の18歳人口の減少の煽りを大きく受けています。さらに厄介なのが、“閉めたくても閉められない大学”が増えていること。そもそも、地方では文科省の審査が緩めな私立大学として設立して、実績を積んで20年後くらいに公立大学として、第三セクター方式でリニューアルするという大学が多いのですが、その過程において定員割れで体力切れを起こしかけている大学が増えているのです。

 こうしたプロジェクトは大学単体の話で済むものではなく、大学の周辺の交通インフラを整備したり、学生寮や下宿先を準備したり、コンビニやスーパーマーケットを誘致したりと、周辺のインフラにも関わっています。そしてそれらの建設費の一部は自治体が負担・補助している場合も多いので、大きな社会問題の一つといえますね」

社会問題化する定員割れだが、受験生たちにとってはメリットか

 では、こうした実情は受験生たちにとってどんな影響を及ぼしているのだろうか。

「定員割れそのものが受験にダイレクトな影響を及ぼすことはないでしょう。ただ、その定員割れを引き起こした原因である18歳人口の減少が、年々加速していくことは間違いありません。そして、それは受験生目線でいえばラッキーな一面もあるんです。いわずもがなですが、定員割れを起こす大学が増えれば、それだけ大学入試のハードルは低くなっていくわけですからね。

 ですから、こういった世の中の動きから入試の動向を捉えられる受験生は、おそらく受験する大学を絞り、ターゲットを上に定めるでしょう。諦めかけていた大学だけど、去年よりも今年のほうが易しくなるんだったらまたチャレンジしてみよう、と考える受験生は多いと思います」(近藤氏)

 しかし、現在の受験生たちの多くは悲観的な考え、シビアな考えを持っている傾向が強いと近藤氏は指摘する。

「一昔前までは、自分は世界で一番できる人間だ、といったポジティブ思考の受験生が多かったものです。けれど現在は、自分は世の中の不幸を一手に背負った受験生だ、とネガティブに考えており、失敗したくない、今回失敗したらもうチャンスがない、といった考えを持っている受験生が多い印象です」

 景気の悪化やコロナ禍後の世界を踏まえて、大学・学部選びをしている受験生が増えてきたということなのだろうか。

「そうなりますね。コロナの影響による渡航禁止の風潮がいつまで続くかわからない現状、外国語系や国際系の大学は、その先の業界が疲弊している現状を見越してか、避けられがちです。また、法学部を除く人文系も、不景気のなかで安定した生活を得る職業につながりにくいと敬遠されがちです。残念なのは、“その先”まで考える受験生が少ないことです。

 逆に人気が集まっている、ないし変化の影響を受けづらいのは理系です。とりわけ、医学部・薬学部には人気が集中しています。これまでは薬学部に入って薬剤師になるくらいの漠然としたイメージで受験する人も多かったのですが、コロナ禍で新薬の開発に意欲を燃やす人々の姿を目にし、彼らの後を追おうとする学生も増えています。あとは情報系も志願者が増えていますね。これは昨今のIT業界が良くも悪くも盛り上がっている影響でしょう。

 こうした現状をよく分析することが、大学合格への近道となることもあります。多くの人の注目を集める人気の大学・学部はそれだけ倍率が高くなる。競争率が高くなる大学・学部を知ることは、同時に狙い目が見えてくるということにもつながるわけです」(近藤氏)

 不景気にコロナ禍と、前途に不安を抱える社会を生きることになる現在の受験生。だが、自分の本来の学力ではギリギリ届くか届かないかというような高めランクの大学でも、来年度受験の状況を冷静に分析し、穴場の大学・学部を受験すれば、合格できる可能性は上がるだろう。

(文=A4studio)

A4studio

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エーヨンスタジオ/WEB媒体(ニュースサイト)、雑誌媒体(週刊誌)を中心に、時事系、サブカル系、ビジネス系などのトピックの企画・編集・執筆を行う編集プロダクション。
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Twitter:@a4studio_tokyo

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