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「もはや北方領土返還は『力ずくで奪う』しかありません。つまり軍事的優位に立たなければ無理なわけですが、アメリカに守ってもらっている今の日本には不可能でしょう。太平洋戦争後、日本の領土が返還された事例といえば半世紀前の沖縄返還がありますが、その見返りにアメリカは沖縄に駐留してアジア諸国ににらみをきかせました。この返還は『属国』である日本に対してアメリカが国益を優先した結果であり、北方領土問題とはまるで異なるものです」(同)
ロシアを刺激したくないのか、2月7日の「北方領土の日」に開催された北方領土返還要求全国大会ではアピール文から「不法占拠」の文言が消え、安倍首相はあいさつで「北方四島の帰属問題」に触れることはなかった。しかし、そもそも相手の顔色をうかがいながら下手に出ている現状では、領土が戻ってくることはないだろう。
「北朝鮮による拉致被害者が返されないのも同じことですが、核保有国に対して非保有国がどのような外交交渉をしても、聞く耳を持ってもらえません。なぜなら、外交交渉とは『軍事力の強いほうが勝つ』と決まっているからです」(同)
腕っぷしの強いほうが勝つという意味では、外交交渉も基本的には子どものケンカと同じようなものなのかもしれない。粘り強く交渉を進める安倍首相だが、このままではいいようにあしらわれてお金だけを搾り取られるのがオチだろう。
(文=後藤豊/ジャーナリスト)
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