東京圏への人口集中が加速している。総務省が1月末に公表した人口移動に基づく結論だ。安倍政権の看板政策のひとつ「地方創生」の効果が見えないことが歴然とした格好だ。
2018年の日本国内における都道府県間移動者数は253万5601人(日本人と外国人の合計)で前年比3万537人の増加となっている。
都道府県別にみると人口流入(転入超過)は東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県、愛知県、福岡県、大阪府、滋賀県の8都府県のみ。滋賀県は前年の人口流出(転出超過)から反転した。人口流入が最大なのは東京都で7万9844人。前年比の増加がもっとも多かったのも東京都で6720人だった。
一方、人口流出は茨城県、福島県、新潟県、長崎県など39道府県で、流出の最大は茨城県で7744人。前年比でもっとも増えたのも茨城県で2590人だった。人口流出の多いのは茨城県7744人、福島県7421人、新潟県6901人、長崎県6666人、青森県6285人の順だ。
3大都市圏で見てみる。3大都市圏全体の人口流入は12万3054人で前年に比べ1万1761人増加した。ただし、流入は東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)のみ。東京圏は転入者が53万124人、転出者39万256人で13万9868人の純増。流入した数は前年よりも1万4338人多く、東京圏への人口流入に歯止めがかかっていないことがわかる。
「東京五輪を控えた再開発ラッシュ、企業の人手不足などで、都内に人もカネも流れている状況だ」(経済ジャーナリスト)
東京圏への人口流入を年代別に見ると、「20~24歳」が7万5103人でもっとも多く、「15~19歳」が2万6665人、「25~29歳」が2万5625人と続く。学生や若年労働力が東京圏に吸い寄せられている。
中枢中核都市9市が人口流出で上位
深刻なのは、地方の人口減だ。全国1719自治体(東京特別区部は1市扱い)のうち、流入しているのは479自治体で全体の27.9%。日本人だけで見ると、394自治体(22.9%)となる。日本人だけの人口流入のトップは東京特別区部で6万5853人。次いで大阪市1万3796人、さいたま市8765人。流入している上位20市町村に千葉県内の5市がランクインしているのが目立つ。
逆に人口が減っている自治体は全体の72.1%にあたる1240市町村もある。さらに、日本人だけだと1325自治体で77.1%に上る。