アポ電(振り込め詐欺)は新たな手口が次々に考えられ、被害は後を絶たない。そんななか、千葉県柏市が市区町村行政では全国で初となる「柏市振り込め詐欺等被害防止等条例」を平成28年4月に施行、今年4月で4年目を迎えた。柏市は条例以外にもオリジナルの施策を展開し、“柏モデル”として評判を得ている。前回に引き続き、同市役所 総務部 防災安全課の土屋政人主幹に、取り組みと効果などを聞いた。
小学生も犯罪防止に貢献
――条例だけでなく、オリジナルの施策を実に多種多彩に考案・実行されていると伺いました。主だったものをご紹介ください(表参照)。
土屋氏 パトロールは、これまでも行っていましたが、より訴求力を高めるようにしました。柏市では通称“サポカー”と呼ばれる青色の回転灯を装備した防犯パトロールカーを4台保有しています。従来は行政の職員の声でアナウンスを流していましたが、高齢者の方に足を止めてもらう、耳に残るような効果性の高い施策はないかと考え、小学生や声優の声で注意を呼び掛けるパトロールを平日に実施するようになりました。声優は幅広い役柄で人気を誇り、柏市にゆかりがある三石琴乃さんにお願いしました。知名度が高い三石さんのアナウンスは、市民の評判も上々です。
――「振り込め詐欺多発警報」と「振り込め詐欺被害非常事態宣言」は、何が違うのですか。
土屋氏 発令基準や期間が違いますので、それぞれ簡単に説明したいと思います。「振り込め詐欺多発警報」は、基準は7日以内に30件以上の振り込め詐欺等の予兆電話が確認され、振り込め詐欺などの被害発生が危惧される場合、または30日以内に10件以上の振り込め詐欺等の被害が発生した場合、あるいは本市と柏警察署が協議して必要と認めた場合に発令されます。発令期間は7日間ですが、本市と柏警察署が協議して必要と認めた場合は、発令期間を延長することができます。
――「振り込め詐欺被害非常事態宣言」の基準や期間はどうなっていますか。
土屋氏 基準は30日以内に15件以上の振り込め詐欺等の被害が発生した場合、または「振り込め詐欺多発警報」を発令しても被害の減少が認められない場合に発令します。期間は10日間ですが、延長要件は警報と同様です。
――昨年度の「振り込め詐欺多発警報」と「振り込め詐欺被害非常事態宣言」発令の実施状況は、いかがでしたか。
土屋氏 平成29年度は多発警報を3回、非常事態宣言は1回発令しています。そのほかにも、対策本部への情報発信は総計で29件実施し、「かしわメール配信サービス」やツイッター、ケーブルテレビ放送などで「どこどこ地区で不審な電話があった」「被害が発生した」などのリアルタイムな情報を発信するようにして、被害防止に努めています。
――対策電話機購入補助金導入の目的はなんでしょうか。
土屋氏 本人の意識だけで被害を防ぐのには限界がありますので、有効な機器で対策を図っていただきたいと思い、振り込め詐欺対策機能の付いた電話機等を購入した場合の費用の一部を補助しています。