日米で議員による珍発言が物議を醸している。
広島県呉市議会は9日、同市議の谷本誠一氏(65)がマスク着用を拒否し、旅客機を降ろされた問題で、同議会初となる政治倫理審査会の設置を決めたことを明らかにした。谷本氏は各社の取材に対し、「マスクの着用を強制するのは人権侵害」「移動の自由に反する憲法違反」などと主張。週刊女性PRIMEの10日付記事『【機内でマスク拒否】広島呉市議が“しない理由”を独占告白「コロナは茶番劇。闇の組織が仕掛けたもの」』なども物議を醸し、同日、日本国内のTwitterで「闇の組織」「広島呉市議」というワードがトレンド入りした。
「ガスパチョ警察が議員をスパイしている!」
奇しくも同日、米国内のTwitter上でもとある議員の珍発言が物議を醸していた。トレンドに上がっていたワードは「Gazpacho」(ガスパチョ)。ちなみに、ガスパチョはスペイン・ポルトガルで食べられている冷製スープだ。
AFP通信は10日、ワシントン発で記事『Soup Nazis? Pro-Trump lawmaker mocked over ‘gazpacho’ police』を配信(下記ツイート参照)。ドナルド・トランプ前大統領の支持者として知られる共和党のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員が、今週火曜日に配信された動画「OneAmerica News」で、2021年1月6日に発生したアメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件の容疑者を収容するワシントン刑務所を「DC Gulag」と述べ、議事堂の警備を担当している警察に対し、次のように述べたのだという。
「Nancy Pelosi’s gazpacho police spying on members of Congress.」
<ナンシー・ペロシ(米下院議長・民主党)のガスパチョ警察が議員をスパイしている>
Soup Nazis?
— AFP News Agency (@AFP) February 10, 2022
Controversial Republican US lawmaker Marjorie Taylor Greene becomes object of online ridicule after accusing Democratic leaders of “gazpacho” tactics — apparently conflating Nazi secret police with the Spanish souphttps://t.co/E5FXeyyPs6 pic.twitter.com/nrgoqdqrv1
この騒動に関し、英ガーディアン紙も9日、記事『Gazpacho police’: Nazi gaffe lands Republican congresswoman in the soup』で報じた。これらの報道によると、グリーン議員は悪名高いナチス・ドイツの秘密警察「ゲシュタポ(Gestapo)」と「ガスパチョ」を混同していたのだという。
日本駐在の米メディア関係者はため息をつき、以下のように語った。
「この混同発言で、グリーン議員は米国のTwitter上ではすっかりジョークの種にされています。補足するのであれば、『OneAmerica News』での発言は、ここのところトランプ派の共和党議員が主張している議事堂警察による議員室への立ち入りをめぐる抗議活動の一環として行われたものです。
彼らの主張が事実にもとづいているのかなどについて言及は控えます。自由な言論は我が国でも保証されています。ただ米国の国政に携わる者が、ゲシュタポとガスパチョを言い間違える、もしくは混同するというのは非常に恥ずかしいことだと思います。日本の谷本氏の報道も読んで知っていますが、私の個人的な感想は控えます。ただ新型コロナウイルス感染症の影響で、国は違っても、どこもでも社会の混沌は深まっているなと思います」
コロナ禍で社会が混乱している時こそ、公職にある人には“冷製スープ”ならぬ、“適切なソースにもとづく冷静な発言”が求められているのだが……。国を超えて話題になった2人の議員の今後が気にかかる。
(文=Business Journal編集部)