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片田珠美「精神科女医のたわごと」

小林麻耶、危惧される「不安と高揚・観念奔逸・邪推・誤認と錯覚・現実検討能力の低下」

文=片田珠美/精神科医
小林麻耶、危惧される「不安と高揚・観念奔逸・邪推・誤認と錯覚・現実検討能力の低下」の画像1
國光吟氏の公式YouTubeチャンネルより

 フリーアナウンサーの小林麻耶さんが元夫の國光吟氏のYouTubeチャンネル『吟 Akira』で、義弟の歌舞伎役者、市川海老蔵さんに対して「今まで我慢していたこと」を暴露し、物議を醸している。麻耶さんは、妹の麻央さん(享年34)の夫である海老蔵さんの言動に苦しめられてきたと主張しているのだが、どこまで真実なのかは、当事者にしかわからないだろう。われわれ部外者には、確認するすべがない。

 ただ、今回の暴露動画を見て、かなり痩せたように私の目には映った。さらに、麻耶さんが動画の中で言及したタレントの松居一代さんが、約5年前にYouTubeで「船越英一郎 裏の顔」という告白動画を立て続けに公開していた頃の精神状態と酷似しているように見え、心から心配している。

 私が危惧する共通点は次の5つである。

1)不安と高揚

2)観念奔逸(かんねんほんいつ)

3)邪推

4)誤認と錯覚

5)現実検討能力の低下

 まず、気分が高ぶっており、不安も入り交じっているように見える。そのせいか、考えが次々にほとばしり出て、連想が急速に進行し、思考にまとまりがない印象を与える。このような状態を精神医学では「観念奔逸」と呼ぶ。

 また、海老蔵さんの言動を邪推しているのではないかと疑いたくなる部分もある。たとえば、昨秋、麻耶さんと姪及び甥が久々に一緒に食事をし、海老蔵さんがブログに「本当色々あったけど、おかえり」「二人にとって待ちに待った日きたね、、よかった、、」と綴ったことに対しても、麻耶さんは不満と怒りをぶつけている。麻耶さんと子供たちの関係が修復に向かいつつあることを、海老蔵さんは単に喜んだだけなのではないかと私は思うのだが、麻耶さんの受け止め方は違うようだ。

 さらに、邪推の結果、誤認したり錯覚したりしていることもあるのではないかと憂慮する。

 たとえば、麻央さんが闘病生活を送っていた病室での海老蔵さんの様子について、麻耶さんは動画内で次のように話している。

「ものすごく苦しくて、本当に大変なときに、競馬新聞を病室で開き、競馬を見ながら楽しんでいましたよね。私と、母と、父の前で」

「妹が亡くなった日に、海老蔵さんは父に向かってこう言いました。“こんなに高いマンション、借りたばっかりなのに!”って。父は絶句してました。私も絶句しました」

 私はその場にいたわけではないので、あくまでも推測で申し上げる。ときには海老蔵さんが競馬新聞を持って病室を訪れたこともあったかもしれないし、麻央さんを少しでも元気づけるために競馬の話をしたこともあったかもしれない。それを、麻耶さんがこのように受け止めた可能性もある。

 麻央さんが亡くなった日に海老蔵さんが吐いたとされる「こんなに高いマンション、借りたばっかりなのに!」という言葉にしても、その前後の文脈から理解すべきかもしれない。たとえば、「こんなに高いマンション、借りたばっかりなのに! 死んでしまって、住めなくてかわいそう。悲しすぎる」といった意味で発した言葉とも考えられる。麻耶さんは、海老蔵さんの言葉尻だけをとらえ、過剰反応しているように見えなくもない。

 そもそも、最愛の妻を喪ったショックと悲しみで打ちのめされていると、それをどう表現していいかわからず、なかなか言葉が出てこないものである。

 何よりも私が危惧するのは、なるべく望ましい結果をもたらし、できるだけ実害を少なくするには、現実的にどう対応するのがいいかについて考える力、つまり現実検討能力が低下しているように見える点だ。

 今回の暴露動画によって、麻耶さんは海老蔵さん一家と交流できなくなる可能性が高いと思う。麻耶さんが昨年4月に離婚した背景には「このままでは最愛の姪・甥に会えない」という事情もあったと一部で報じられている。それだけ姪と甥に対する愛情が強いのだろうが、今後2度と会えなくなってしまう恐れもある。そういう事態は麻耶さんにとって極力避けたかったはずだ。にもかかわらず、暴露動画によって、自分が望まなかった事態を招いてしまったのだから、現実検討能力が低下しているのではないかと疑わずにはいられない。

“フォリ・ア・ドゥ(folie à deux)”の可能性も

 以上の5つの点は、約5年前に当時の夫、船越さんを告発する動画を投稿し続けていた頃の松居さんにも認められた。松居さんは、被害妄想と嫉妬妄想も抱いているように見えたので、私は「退行期パラノイア ( involutional paranoia) 」である可能性を指摘した

「退行期パラノイア」は、圧倒的に女性に多く(40歳~51歳の女性が症例の約90%を占める)、不安と高揚が入り交じった不安定な精神状態になる。最初は何でも邪推し、ちょっとした疑念や不信感を抱くことから始まり、次第に誤解や錯覚が頻繁になる。やがて、一貫した内容を持つ妄想へと発展することも少なくない。

 今回、暴露動画を公開した麻耶さんの場合、一見すると妄想を抱いているようには見えない。ただ、海老蔵さんをはじめ田村淳さんなどの著名人から、麻耶さんの両親までが、麻耶さんを批判したと、元夫の國光氏は告発している。

 どこまで事実なのか疑問だが、批判したとされる側にそのつもりがなかったのに、麻耶さんと元夫が批判されたように受け止めたのだとすれば、被害者意識が強すぎるのかもしれない。あるいは、批判されたと2人が確信しており、しかも訂正不能とすれば、“フォリ・ア・ドゥ(folie à deux)”の状態とも考えられる。

“フォリ”は「熱狂」「狂おしい情熱」、“ドゥ”は数字の2を意味するフランス語であり、直訳すると「2人の熱狂」という意味である。現実からも、世間の常識からもズレた認識を共有している状態であり、場合によっては妄想に近づくこともある。

 しかも、2人ともスピリチュアルな治療法や神との交信の効用を信じているように見える。したがって、法律上は離婚したとはいえ、いまだに“フォリ・ア・ドゥ”のまっただ中にいるのではないかと危惧する次第である。

(文=片田珠美/精神科医)

片田珠美/精神科医

片田珠美/精神科医

広島県生まれ。精神科医。大阪大学医学部卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。人間・環境学博士(京都大学)。フランス政府給費留学生としてパリ第8大学精神分析学部でラカン派の精神分析を学ぶ。DEA(専門研究課程修了証書)取得。パリ第8大学博士課程中退。京都大学非常勤講師(2003年度~2016年度)。精神科医として臨床に携わり、臨床経験にもとづいて、犯罪心理や心の病の構造を分析。社会問題にも目を向け、社会の根底に潜む構造的な問題を精神分析学的視点から分析。

Twitter:@tamamineko

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