30日、プロ野球・北海道日本ハムファイターズの新本拠地であるエスコンフィールド北海道(北広島市)で、日ハムが今シーズンの開幕戦を迎える。前編では新本拠地が札幌ドームから北広島市に移転するまでの経緯を解説した。本稿では北広島駅からエスコンフィールドまでを実際に歩いて移動し、その模様をレポートしていく。
取材当日は快晴。絶好の取材日和となった。さっそく札幌駅から快速列車「エアポート」に乗車。17分前後で北広島駅にアクセスできる。「エアポート」は札幌駅の次に新札幌駅に停車する。新札幌駅は札幌市営地下鉄東西線の終着駅(新さっぽろ駅)でもあり、JR函館線等で運転されている特急列車の停車駅でもある。また新札幌駅からもエスコンフィールド北海道まで向かうシャトルバスがあるため、新札幌からバスで球場までアクセスするという選択肢もある。
新札幌駅を発車するとその次が北広島駅となる。北広島駅到着後に西口を出て、バスなどが発着するエリアを通り過ぎる。駅からは前述のシャトルバスのほか、札幌市近郊の江別市や長沼・南幌町など、北広島市近郊の各方面へ向かう路線バスが発着している。バス停を過ぎて右に曲がると「北進通り」に出て、北進町団地を左に見ながら歩みを進める。「北進通り」は左に緩やかにカーブしつつ、緩やかな下り勾配が続く。道路の両脇には新しい賃貸マンションなども建っており、新球場設置が北広島市の経済活性化や人口の増加にもつながる可能性が期待される。
日本ハム仕様にリニューアルされたコンビニエンスストア「セイコーマート北広島西口店」を右手に眺めながら歩き、その先の交差点を過ぎ、北進橋を渡る。この通りは別名「ボールパーク通り」とも呼び、通りの電灯には日本ハムのフラッグが掲げられている。北進橋は「北進通り」とは反対に緩やかな登り勾配だ。左にカーブした北進橋を上って渡り切ると、右手に北海道北広島高校の校舎が見えてくる。ここまで来ればもうエスコンフィールド北海道は目の前だ。その道をまっすぐ登れば、右手にエスコンフィールドが現れる。北広島駅を出てから21分。ようやくエスコンフィールドに到着した。
取材当日は日曜日ということもあり、車や人出は多く感じた。特に北海道ボールパークFビレッジ内の遊具では子供たちが遊んでおり、「ボールパーク」としての役割は果たしているのだろう。他にも新球場を一目見ようと球場を訪れている人もいたに違いない。Fビレッジには宿泊施設もあり、金曜日のナイトゲーム→土曜日のデーゲームといったスケジュールであれば、2試合を気軽に楽しめる。もちろん懐が許せば、であるが。
北広島では新たな課題も?市民生活にも影響が
当日は球場が一部開放されており、球場内に入ることができた。この時に感じたのは「土の匂い」といえばいいのか「できたての球場の匂い」といえばいいのか。ある意味「独特の匂い」がした。ぜひ実際に球場でこの匂いを感じてほしい。球場内には日本ハムのユニフォームなどを販売するショップのほか、日本ハムが運営する飲食スペースもあった。ただ、ゴミ箱は札幌ドームよりもひと回り小さく感じ、このゴミ箱で多くのゴミをさばけるのだろうかと疑問には思った。
球場からはJR北広島駅とJR新札幌駅までを結ぶシャトルバスも運転されている。バスには中国・BYD製のEV(電気自動車)を使用している。ただ、BYD製の車両等には毒性がある「六価クロム」が使用されているとBYD側が公表しており、人体等への影響などが懸念され、その車両を使い続ける意義はあるのか疑問視する意見もある。そのあたりは納得いく説明をBYD側に求めたいところだ。
本稿記者は北広島駅からエスコンフィールドまで歩いたが、シャトルバスを利用したほうが「楽」だと感じた。試合の前に疲れてしまっては意味がない。歩くと疲れてしまうため、もし球場に「楽に」行くのであればシャトルバスの利用をおすすめしたいが、バス待ちの混雑が問題化しており、その待ち時間がネックとなっている。バス待ちを諦めてJR北広島駅まで歩くか、ひたすらバスを待ち続けるか。それとも、名残惜しいものの試合が終わる少し前に席を立ち、帰るか。「さてどうしようか」と悩んでいる野球ファンも多いはず。私たちは難しい判断を迫られることになりそうだ。
ところで、北広島の地元住民は日本ハムの本拠地が北広島に移転することについてどう思っているのだろうか。とある住民に聞いてみたところ、これまでなかった出来事がいろいろと起きているのだという。
「試合があるときは交通渋滞がすごい。こんなことは今までなかったのに」(地元住民)
北広島市民の足である車が思うように使えない。想像もできなかったところで日本ハム移転の影響が出ているようだ。そのようななかで30日にいよいよプロ野球シーズンが開幕する。ぜひ日本ハムにはこれらの懸念をすべて吹き飛ばすような戦いをしてくれることを期待し、本稿を閉じたい。
(文=小林英介)