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北海道ボールパーク、北広島新駅の設置に暗雲…総工費4割増、費用負担のメド立たず

文=小林英介
北海道ボールパーク、北広島新駅の設置に暗雲…総工費4割増、費用負担のメド立たずの画像1
JR北広島新駅のイメージ画像(JR北海道プレスリリースより)

 2023年3月に開業する「北海道ボールパークFビレッジ」。その一部であるプロ野球パ・リーグ、北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールド北海道」がまもなくオープンを迎えるが、新球場近くに整備する予定の北広島市の新駅の総工費が当初より35億円前後増えることがわかった。JR北海道の担当者は「(JR側が工費を提示した2019年12月時点では)費用増加はまだ想定していない」と本稿記者の取材に回答している。

 2019年12月にJR北が発表したリリース「北海道ボールパーク(仮称)開業に伴う新駅案の検討状況と北広島駅の改修計画について」によると、新駅のホームは1面2線(線路はその外側にも各1本ずつ配置)で引き上げ線も配置すると計画。(1)ナイター終了時など、一時的に利用者が集中しても安全に利用できる設備、(2)新千歳空港駅から札幌駅(一部は小樽駅等が終点)までを結ぶ列車「快速エアポート」等、列車通過時に利用者の安全を考慮した駅構内の配線(線路配置)、(3)新駅が始発となる臨時列車へ対応できる引き上げ線の配置、(4)ボールパークからのスムーズな移動ルート確保の4点を考慮し、検討を進めるとした。

 この際、同時に提示されていた工事費の概算額は80~90億円。これに連絡通路分の費用が加わるとしていたが、前述の通り35億円ほど増加しており、115~125億円程度以上の予算が見込まれる。また発表時点での工期は7年を予定しており、もし2023年度中から工事に着手した場合には、2029年度の開業となる可能性もある。

 JR北の担当者によると、19年12月に公表した80~90億円との試算は「前年の11月に開業したJR苗穂(なえぼ)駅の工事をモデルケースとして算出した」という。苗穂駅は1910年の開業。駅周辺の再開発などのため、1935年建設の2代目駅舎を建て替えることとなり、2018年に駅は橋上駅舎化。建て替え前の駅舎よりも札幌駅側に約300メートル移転した。「駅舎等の建設と並行して連絡通路の整備も行っていることから、試算するモデルケースとして最適だったのでは」と地元の関係者は明かしている。

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「工事費が増えて115億~125億円規模になるのは事実」とJR北、どう費用捻出?

 JR北や北広島市の担当者へ取材したことをまとめると、北広島市から20年7月に新駅の請願があり、ちょうど1年後となる21年7月には設計のため、市で予算化を実施。現在も進められている新駅整備に向けた概略設計のほか、調査に用いる負担金約4783万円の増額(補正予算)を決めたという。そして今回、JR北が中間報告として示した金額が「約35億円前後の増額」だとし、その旨は市側に伝わっているとした。

「工事費が増えて115~125億円規模になるのは事実。市側にも伝えている。増額の理由は資材の高騰や賃金の高騰、そして市側からは用地取得を極力、回避したいとの要望もあった」(JR北の担当者)

 最近の経営状況等の悪化や、市側が駅の設置を要望したいわゆる「請願駅」でもあるため、これ以上JR北が費用負担することは考えられない。北広島市の担当者も「議会でも議論されている通り、増額の想定は当然している。物価高騰等の影響があるのはわかっている」との認識を示した。

「最小経費かつ工期短縮となるような整備について、引き続きJR北と協議していく。(資金調達については)民間事業者と連携した資金調達や国の交付金の活用など、可能な限り市の財政負担の縮減を図る方向性で検討を進め、JR北と協議していく予定」(北広島市の担当者)

 自社では赤字路線を多く抱え、先日開かれた根室線(富良野-新得間)沿線自治体会合ではJR北側が2024年3月末での路線廃止、翌4月からのバス転換を提案したとマスコミ各社が報道したばかりだ。新駅が実際に建設されるのかは不透明であり、この問題は暗礁に乗り上げつつある。今後、市側はどのようにして費用を捻出するのだろうか。対応に注目が集まる。

(文=小林英介)

小林英介/ライター

小林英介/ライター

ライター。1996年北海道滝川市生まれ。業界紙記者として働きつつ、様々な媒体でも活動している。

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