しかし美月氏によると、ファーストクラスの乗客すべてが読書をしているわけではないらしく、「おもしろいことに、アップグレードでビジネスクラスからファーストクラスに搭乗したりする“非常連”の方々に共通するのは、機内で『読書をしない』こと。ファーストクラスのサービスを満喫されるのに夢中で、読書をする余裕がないのかもしれません」とのこと。
それにしても気になるのが“非常連”という言葉。エコノミー、ビジネス、ファーストだけでなく、同じファーストクラスの中でもさらに常連と非常連に区別されているとは……。もしかしてCAたちは、乗客を値踏みしているのだろうか。
●エコノミーでは、多忙時に見て見ぬふりも…
そんなCAたちの、乗客に対する本音を垣間見ることができるのが、『サービスを100%受けられる人、50%しか受けられない人。』(豊澤早一妃/カナリア書房)。日本航空の元CAである著者の経験によると、サービスを100%受けられる人と、そうではない人がいるそうだ。同僚よりも「お客からの感謝レター」を多くもらっていたという著者だが、サービスをする側の本音とは、いったいどんなものなのか。
まずはエコノミークラスについて。CA1人で50人ものエコノミー客を担当するなど重労働で、「ドタバタ時にはお客様のおかわりなどに気づいても、見て見ぬふり、気づかないふりをしないとサービスが進まない」という。
一方、ファーストクラスについてはこんな記述から始まる。
「人を『一流』『二流』と区別する言い方は好きではありませんが、やはり『一流を極めた人』というのは存在します」と。そして接客にしてもコールボタンで呼び出されるようでは失格で、「かゆい所に手が届き、空気のようで存在感はある、その微妙なバランス感覚が必要」だという。エコノミー客の求めは時として無視することと比べ、大きな“区別”ではある。さらにメニューにはない裏メニューを提供することもあるという。
そしてファースト客は、サービスの受け上手なのだという。しかも品格があり、笑顔で謙虚。
「地位があるから、お金があるからファーストクラスに乗るのではなく、その方の人格、つまり『人としてのあり方』に地位やお金がついてきて、その結果ファーストクラスに乗ることができる」と。大絶賛である。
●人間力に結果がついてくる?
もちろん著者はファースト客すべてを絶賛しているわけではない。ファーストクラスを利用していても、人を見下したような態度を取っていた若手俳優のエピソードにも触れている。横柄なこの俳優は、その後、逮捕・起訴されているという恐ろしい教訓と共に、こんな考察がある。