10年6月の全面的な法改正以降、一般の貸金業者から借りられなくなった事業者や消費者が、違法な高金利を取るヤミ金に流れる弊害を是正するために、民主党の作業部会が検討を開始したというものだ。出資法や利息制限法で20%を超える利息を取ることは禁じられているが、上限金利を30%未満にまで引き上げるのと同時に年収の3分の1を超える借り入れは出来ないことになっている、総量規制を見直す方針だという。早い話が、上限金利を改正前の水準に戻すということだ。
上限金利の緩和は、取り過ぎた利息(過払い金)の返還問題が最終局面を迎えたことと無関係ではない。返金額の膨大な負担に耐え切れず、武富士(現・TFK)やNISグループ(旧・ニッシン)、SFコーポーレーション(旧・三和ファイナンス)、アエル(旧・日立信販)などが次々と経営破綻した。
7月5日には、中堅消費者金融会社のクラヴィス(大阪市)が、大阪地裁に自己破産を申請し、破産手続きの開始の決定を受けた。債権者は約46万人、負債総額は3268億円。このうち32万人分、3219億円が過払い利息の返還債務だ。消費者金融では武富士に次ぐ過去2番目の大型倒産となった。
クラヴィスは1975年に独立系の消費者金融リッチとして設立され、2000年にプロミス(現・SMBCコンシューマーファイナンス)の傘下に入った。02~05年に「ぷらっと」、05~07年にはクォークローンの商号で貸金業を行っていた。改正貸資金業法の成立を受け、07年12月に貸金業登録を廃止、商号をタンポートに変更して、債権回収に専念していた。
09年3月にプロミスからネオラインキャピタルにタンポートの全株式が譲渡され、商号をクラヴィスに変更した。しかし、債権回収は進まず、一方で過払い金の請求が増え続け、今年1月、ネオラインホールディングスグループはクラヴィスの経営から撤退。新たなスポンサーは見つからず、破産を申し立てた。