(朝日新聞出版/ジョン・ハイルマン)
ケリー氏は今回の中韓訪問に当たり、日本を素通りした。米国が「自重してほしい」と要求していた靖国神社参拝を、安倍晋三首相が昨年末に強行したためとみられている。
そんな中、オバマ氏が4月22、23日に日本を訪れることが固まった。滞在1泊で異例の国賓待遇である。オバマ氏は日本以外にもフィリピン、マレーシアを訪れるが、韓国は日本滞在の日程を削ってでも訪韓してほしいと強く要請したため、日本滞在は2泊3日から1泊2日に短縮された。日程が1日縮まることによって皇室行事の一部を削る案や国会演説を取りやめる案などが浮上しているが、安倍首相の周辺は「とにかく来日してくれればいい」とのムードだ。
一方、韓国メディアは、日本滞在を1日短縮させるかたちで実現したオバマ氏の訪韓を、「外交的勝利」と大々的に報道している。また、1月20日付産経新聞は、オバマ氏は中国が呼びかける「新型大国関係」に前向きな姿勢を示しており、中国ばかり見ているという元米政府関係者のコメントを掲載している。同紙によれば、中国は尖閣諸島問題などで米国に口も手も出せないようにさせることを狙っているという、「中国の罠」論も米国内で聞かれるという。
安倍首相は1月24日、通常国会の施政方針演説で、「世界最先端の」「世界に冠たる」「世界最高」など「世界」という言葉を計35回も使い、その半分が「世界一を目指す」という意味で使われている。そんな安倍首相の意気込みに冷水を浴びせるかのように、1月末から2月初旬にかけて日経平均株価は連日急落。2月中旬になり持ち直しつつあるも「これからも円高が続く」との見方が外資系証券会社から出始め、米モルガン・スタンレーは1ドル=97円で落ち着くとしている。株価は6カ月先を先取りするといわれているが、今年の夏にかけ、外交面でも経済面でも予断を許さない状況が続く。
(文=編集部)