文科省としては、15年度中に食品成分表に糖分含有量の記載を始めるというものであった。当面、500~600品目で、基礎的食品と炭水化物が多い食品の糖分含有量を記載するという。これらの食品の糖分含有量がわかれば、使用した加工食品も糖分含有量が計算できることになる。
この文科省の見解を今度は、厚労省健康局がん対策・健康増進課にぶつけてみたところ、そこで明らかになったことは、15年版の食事摂取基準には、糖類摂取量基準は盛り込めないが、食品成分表の糖分含有量記載を受けて20年版の食事摂取基準に糖類摂取量基準を盛り込む方向で、専門家に検討を依頼することにしたいとのことであった。
つまり20年には、日本人の糖類摂取量基準が初めて策定されることになる。6年後ではあるが、日本も遅ればせながらWHOの指針に近づくことになる。
●消費者庁の対応次第では表示抜きの懸念
では、表示はどうであろうか。現在、消費者庁が実施している栄養成分表示には、糖分表示は義務付けられていない。その理由は、食事摂取基準で糖類摂取量基準が策定されていないからとしている。そこで消費者庁食品表示企画課にあらためて、厚労省と文科省の方針を伝え、見解をただしてみた。消費者庁の担当者は、食品成分表の糖分含有量記載の実施状況や厚労省の糖類摂取量基準策定状況も踏まえて糖分表示の検討を進めていきたいとのことであり、どうも表示を先行する構えはまったくない。
だが、少なくとも、20年に同時決着をすべきである。なぜなら、消費者は糖類摂取量基準が策定されても、食品に糖分表示がなければ、その基準を自ら守ることはできないからである。消費者は、食品に糖分表示があり、その表示を見て食品を選択して、初めて基準を守ることができる。消費者庁は、真っ先に消費者を守るべき省庁であり、われわれ消費者は、今後しっかりと消費者庁の動向を見守らなくてはならない。
(文=小倉正行/国会議員政策秘書、ライター)