安倍政権の女性登用拡大政策、経済成長の阻害要因の懸念 霞が関人事で早くも弊害露呈
安倍首相は「女性の活躍推進」を成長戦略の目玉に位置づけ、「2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%に」という数値目標を掲げている。その目標達成に向けた動きが、まず7月に行われた霞が関人事(中央省庁幹部人事)で見られた。
実はこの人事に先立つ5月末、内閣人事局が設置され、約600人の省庁幹部人事を一元的に管理することになり、従来以上に官邸の意向が幹部人事に反映されやすくなっていた。
第1弾の7月4日閣議決定の人事では、法務省、経済産業省、外務省、厚生労働省の4省で女性が局長に任命された。厚労省以外の3省では初の女性局長で、特に法務省では、外資系金融機関で社内弁護士を務めた「異色の経歴」の持ち主である岡村和美・最高検察庁検事が人権擁護局長に起用された。
外務省は環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に代表される経済外交を担う経済局長に北米2課長などを務めた斎木尚子・国際文化交流審議官、経産省は貿易経済協力局長に繊維課長、通商機構部長を歴任した宗像直子・大臣官房審議官を充てた。
第2弾となる7月18日の閣議決定では、文部科学省のナンバー2だった板東久美子文科審議官が阿南久消費者庁長官の後任に就いた。このほか、内閣府、公正取引委員会、文科省で女性が局長級に起用された。
その結果、約240ある局長級以上のポストのうち、女性は8人から15人に増え、全体に占める割合は6.2%となった。内訳を見ると、厚労省と外務省がそれぞれ3人。経産省や法務省など9府省庁でそれぞれ1人が局長以上のポストに就いた。局長級の下のポストに当たる審議官級以上の幹部職員で見ると、女性は16人から23人に増え、幹部全体の約3.7%になった。
●数合わせの人事?
2010年12月17日決定の第3次男女共同参画基本計画では、15年までに地方分も含む幹部職員の女性割合の目標を3%と設定している。新聞報道によれば、今回の幹部人事で女性の割合は約2.7%となる見込みで、人事局幹部は「来夏の幹部人事で目標の達成は可能だ」と胸を張っているらしい。
菅義偉官房長官も7月18日の記者会見で「内閣全体で適材適所となる戦略的な人事配置をした」と述べているが、果たして本当に適材適所といえるのかというと、疑問符が付く。