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秘密保護法、違憲確認求め集団訴訟相次ぐ 国の恣意的判断で突然罰せられる危険も

文=林克明/フリージャーナリスト
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秘密保護法、違憲確認求め集団訴訟相次ぐ 国の恣意的判断で突然罰せられる危険もの画像1訴状提出後、横浜地裁前で。左から原告の青木祐治氏、岩田薫氏、中村光夫氏。
 特定秘密保護法(以下、秘密保護法)は、国民の知る権利を阻害し憲法違反で無効であることの確認、そして施行の差し止めなどを求める集団訴訟が始まった。

 7月25日、神奈川県内在住の11人が国を相手に違憲の確認と施行の差し止め、さらに1人当たり1万円の慰謝料請求を求める訴訟を横浜地方裁判所に起こした。2月に静岡地方裁判所に弁護士の藤森克美氏が提訴、3月にフリージャーナリストら43名が東京地方裁判所に提訴したことに続き、今回で秘密保護法違憲訴訟は3件目となった。

 秘密保護法は昨年12月6日に成立。大臣など行政機関の長が特定秘密を指定でき、秘密を洩らした者、秘密情報にアクセスした者、仮に実行しなくても情報を得ようと計画したり相談したりするだけでも重罰を科せられる。

 しかも、何が秘密であるか自体も秘密なので、広範囲の一般市民が状況を認識できないまま逮捕され、裁判で有罪にされる危険すらある。歯止めをかける機能が不十分なため、現代版治安維持法ではないかと、全国各地で反対運動が続いている。

 今回提訴したのは、フリージャーナリストで住民運動にも関わる岩田薫氏、伊藤成彦・中央大学名誉教授、元高校教諭の青木祐治氏、元小学校教諭で郷土史家の中村光夫氏ら11人。今後も原告を募り、最終的に30名近くを目指すという。

 原告団の主張は、「特定秘密に当たる情報の定義が抽象的で、各省庁の判断で秘密の範囲が広がる恐れがある」ことだ。秘密指定の妥当性を監視する「独立公文書管理監」、事務局の「情報保全監察室」なども、チェック機能を果たすものとはいえず、国民の知る権利を阻害する点を強調している。

 また、国が設置した「情報保全諮問会議」も被告としていることが横浜訴訟の特徴である。座長は、読売新聞グループ本社代表取締役会長で主筆の渡邉恒雄氏で、同会議が7月17日に公表した運用基準についても、憲法に違反すると訴えている。

●強制力を持たないチェック機関

 特定秘密の分野は(1)防衛、(2)外交、(3)特定有害活動(スパイ活動)、(4)テロ防止、の4点。違反すれば、最高刑が懲役10年と、これまでの秘密保護に関する法律よりも重罰であることと、定義があいまいで行政側がいかようにも拡大解釈できることが、この法律の特徴だ。

 今回発表された運用基準について訴状では、「特定秘密に当たる情報として(中略)55項目を規定したものの、定義が極めて抽象的であり、各省庁の判断で秘密の範囲が広がる恐れが懸念されている」と指摘している。

 さらに、不正を防ぐために政府がつくるチェック機関は、各省庁に対して特定秘密を開示させる強制力がない。

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