(「日本生命」)HPより
同ペーパーでは、『日本生命は国内に54基の原子力発電所を持つ電力会社の最大の株式保有企業であり、債権者である。日本生命の持つ2億あまりの電力会社の株式は、福島第一原発の事故により価値が半減し、結果的として同社と保険契約者にとって、2300億円もの損失を与えた』と指摘。さらに、電力会社の収益の悪化、融資の困難、格付けの低下や、電力市場の規制改革による独占体制の崩壊は、日本生命が持つ電力会社の株式、社債、貸付に関する損失の増大に拍車をかけると述べている。
さらに、保険会社としての将来にまで言及している。保険の国内市場が縮小する中で、激化する厳しい競争に直面し、日本生命はシェアを縮小しつつある。日本生命がこの傾向を逆転させる最も有力かつ唯一の鍵は、そのブランド力と900~1000万人いる強固な契約者基盤が握っている。しかし、国民の70~80%が日本の原子力政策からの脱却を求めている今日、日本生命の原子力への投資方針は、その“鍵”さえ揺るがす可能性を否定できないと、同ペーパーで分析している。
加えて、国民の原子力への不安や脱原発意識は、特に女性の間で顕著であり、それは、医療および生命保険に対するニーズが成熟した国内の生命保険市場において、稀な成長層でもある。日本生命の原子力産業への投資は、自社の株式の価値を半減させただけでなく、今後のブランドイメージを損ない、開拓市場をも壊していく恐れがある。さらに、今後も原子力発電を行う電力会社のスキャンダル、隠ぺい、不信な振る舞いが明るみに出るたびに、日本生命の持つ原子力発電業者に対する投資の価値は下がり続けるだろうと、釘を刺している。
その上で、日本生命に対する提言も行っている。日本生命は電力会社の主要株主および債権者として、脱原発を支持し、自然エネルギーへの投資を増加する方針を表明することで、電力会社の損害を最小限度に抑えるだけでなく、顧客や潜在的顧客層に対する日本生命のブランドを強化することができる。またこれにより、過去10年にわたる電力会社のスキャンダルについても責任を問われることを回避できるばかりか、新しい商品の開発と導入を可能にし、株式や社債をもつ会社への影響力を強め、そして会社を、今後原子力よりはるかに多くの経済活動を創出しながら急成長する、再生可能エネルギー産業の最前線に置くことができるとしている。