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原田 私自身は1件1件丁寧に事件を審理してきたつもりですが、もちろん私とて、自分が出した有罪判決に、上級審で逆転無罪を出された経験は何度かあります。どんなに頑張っても誤りが潜む危険性が刑事事件にはあり、裁判官は裁判官である限り、この本質的な恐ろしさと戦い続けなければなりません。
有罪なのか無罪なのかを誰よりも知っているのは被告人本人です。裁判官が判断を間違えたら、それを誰よりも知っているのは被告人本人ですから、非常にしんどい仕事です。法廷での手続きには経験を積めば慣れていきますが、判断することに慣れるということは、裁判官をやっている限り永遠にありません。正しい判断は精神論だけでは実現しないので、私の手法が少しでも後輩たちの役に立てばと思っています。
(構成=伊藤歩/金融ジャーナリスト)
※前回記事はこちら
『元裁判官が語る「えん罪や、検察のねつ造が生まれるカラクリ」』
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