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9月7日、政府は異例の予算執行抑制を閣議決定した。地方交付税交付金などを抑制したり、独立行政法人等向けの運営交付金の交付を留保したり、あるいは裁量的補助金といわれる補助金の執行を保留したりしている。これらの措置により、現在ある国の資金をできる限り長持ちさせようという魂胆だ。
だが、予算執行抑制の影響はすでに出始めている。地方交付税の事実上の減額により、地方では代金が払えないために公共工事が停止したり、公共事業が滞り始めている。この状態が続けば、役人や警察官といった公務員の給与の支払いができなくなる可能性も出ている。
このため、政府から入ってくる地方交付税を待ちきれずに、自治体自らが債券を発行したり、銀行から借入を実施する例が増加している。債券の金利や銀行からの借入金利は、地方交付税がきちんと入ってくれば、本来は必要のない経費だ。その金利負担も地方自治体に重く圧し掛かる。まさに、“日本版財政の崖”危機の到来と言えよう。
予算執行抑制により、政府は何とか国の資金を長持ちさせようとしているが、いくら抑制しても最低限必要な資金は支出せざるを得ない。こうした資金の支出がある以上、いつかは資金が枯渇する。現状の見積もりでは、12月中旬には国の資金が枯渇すると見られている。国に歳出のための資金が枯渇するという一種の財政破綻状態がやってくる。
野田首相は10月29日に臨時国会を召集する方針を打ち出している。この臨時国会でなるべく早い時期に特例公債法案を成立させないと、“日本版財政の崖”は現実のものとなる。自民党はあくまで、公債特例法案の成立は衆議院の解散・総選挙と引き換えという姿勢を崩していない。“どじょう首相”は冬眠することなく、危機を回避することができるのだろうか。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)
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