那覇空港全体の14年の国際貨物取扱量は17万8089トンで対前年比約20%増、2年連続の増加となった。ANAのハブ事業が始まる前の08年の935トンと比べ、190倍に急増している。ちなみに国内トップは成田の約204万トンで、次が関西の約70万トン。那覇は中部の16万5722トンを上回り、国内3位の空港となっているのだ。沖縄がアジア大交易の一大拠点となる日は近い。
ものづくり、観光、エネルギーでさらなる飛躍の可能性
那覇空港の国際ハブ化が進むにつれ、物流関連企業はもちろん、さまざまな分野の企業が沖縄に熱い視線を送るようになってきた。半導体、医療、金型メーカーなどが沖縄の地の利に惹かれて生産設備や研究拠点などを置く動きが加速している。ITや金融の特区によるさまざまな支援制度もあってメリットは大きい。
「公共投資、観光、基地経済への依存度が高かった沖縄経済が、この数年で大きく変貌を遂げようとしています。20年には那覇空港第2滑走路の供用も始まるので、ますます沖縄熱が高まりそうです。もちろん課題もあります。航空機による輸送は、海運に比べ輸送時間が圧倒的に短い分、コストは数十倍になるケースもあるのです。そうした高コスト体質でも採算の取れる高付加価値産業をいかに誘致できるかが勝負といえるでしょう。観光面でいえば、鉄道をはじめとする陸上交通のインフラの整備、アジア圏からの旅行客に対応できる言語やソフト能力の強化・拡充が不可欠です。ただ、人口増加率の高さ、地理的な有利さ、豊かな自然環境など沖縄の持つポテンシャルは極めて大きいため、辺野古問題など政治に左右される側面を県や周辺自治体がどうクリアして、経済の自立、発展に結び付けていくかに注目が集まっています。官だけではなく民の力を最大限に取り入れながら進めていけば、大きく飛躍する可能性があります」(経済ジャーナリスト)
エネルギー分野も注目だ。太陽光など再生可能エネルギーを有効活用するためのスマートコミュニティの実証実験が宮古島で行われているほか、本島でもスマートグリッド(次世代送電網)技術を採り入れ、街ぐるみでの電力自給計画が浮上。原子力発電所がない沖縄で、どのようなエネルギー革命が起きるのか。
戦後70年間、基地と政治に翻弄され続けてきた沖縄が、新たなステップへと大きく変貌し、発展しようとしている。
(文=編集部)