「アジア大交易」の再来を目指す那覇空港
国際物流の点からも沖縄は、再び存在感を示す拠点となりつつある。14世紀から16世紀にかけて、明への朝貢国として高いランクに位置づけられていた琉球王国は、東アジアにおける対明貿易をほぼ独占した上、東南アジアや日本と朝鮮を結ぶ中継貿易の拠点として繁栄した。この時代は「大交易時代」と呼ばれ、ここに冒頭の「万国津梁」が登場する。「舟楫をもって万国の津粱となし、異産至宝は十方刹に充満せり」(舟を操って世界の架け橋となり、珍しい宝は国内に充ち満ちている)といった繁栄ぶりだった。
それは沖縄の地政学的なメリットによるところが大きい。那覇を起点とした同心円の1500キロメートル圏内には、東京、中国・上海、広州、香港、韓国・ソウル、台湾・台北、フィリピン・マニラといった東アジアの重要な拠点が見事なまでに収まる。中国・北京はやや離れているが2000キロメートル圏内だ。那覇はアジア物流の拠点となるには打ってつけの都市なのである。そこにいち早く着目して動いたのが全日本空輸(ANA)だった。
「アジアの主要都市から4時間圏内」「24時間離発着可能」――この2つの利点を持つ那覇空港を活用した「沖縄貨物ハブネットワーク」事業を同社は2009年10月にスタートさせた。
現在、国内4空港(千葉・成田国際空港、東京国際空港<羽田空港>、大阪・関西国際空港、愛知・中部国際空港)、海外8空港(韓国・仁川国際空港<ソウル>、中国・青島流亭国際空港、上海浦東国際空港、広州白雲国際空港、香港国際空港、台湾桃園国際空港、タイ・スワンナプーム国際空港<バンコク>、シンガポール・チャンギ国際空港)と那覇を結び、深夜発早朝着の運航ダイヤで、アジア圏へ翌日配送体制を築き上げた。ANAは今年10月には、中国・アモイ高崎国際空港、フィリピン・ニノイ=アキノ国際空港(マニラ)との路線を新設し、広州は成田線に切り替える。これにより、那覇は国内外13拠点の国際貨物のハブ空港となるわけだ。