今夏は、冷夏予測から一転して暑い夏になった。気象庁は6月時点で、エルニーニョ現象の影響を受けて今夏は平年に比べて曇りや雨の日が多くなると予測していた。しかし、同庁は7月に入ると、8月にかけて東日本などで平年と同様に晴れの日が多くなる見込みと発表し、先の予測を修正した。
各業界においても、猛暑の影響が出ている。過去の経験によれば、猛暑によって業績が上向く代表的な業界としては、エアコン関連や飲料関連がある。また、目薬や日焼け止め、虫除けといった製薬関連のほか、旅行業界やプールなどの水に関連する業界も猛暑では業績が大きく伸びる。そのほか、冷菓や日傘などのメーカーも猛暑の年には業績が好調になる傾向がある。
さらに、飲料の販売比率の高いコンビニエンスストアや、猛暑による消費拡大効果で広告代理店の受注も増加しやすい。飲料の販売増に伴い、缶・ペットボトルやそれらに貼るラベルのメーカー、原材料となるアルミニウムの圧延メーカー、商品を包装するダンボールメーカーなどへの影響も目立つ。加えて、ファミリーレストランなどの外食産業、消費拡大効果で荷動きが活発になる運輸、猛暑で外出しにくくなることにより販売が増えるゲーム関連なども猛暑で業績が上がったことがある。
一方、一部の食料品やガス、テーマパーク、衣料品などの関連業界では、猛暑がマイナスに作用した例も見られる。
天候と消費の関係
夏の気候と消費の関連性について、国民経済計算を用いて7~9月期の実質家計消費の前年比と東京・大阪平均の日照時間の前年差を見ると、両者は驚くほど連動性があり、日照時間が増加したときに実質家計消費が拡大するケースが多いことがわかる。従って、単純な家計消費と日照時間の関係だけを見れば、猛暑は家計消費全体にとっては押し上げ要因として作用するといえる。