老後資産を食いつぶす…安易なワンルームマンション投資は絶対やってはいけない理由
昨今の不動産投資 会社員がワンルームマンションを買う
ところが、昨今の都会の不動産投資は様子が違う。30~40代の会社員が「老後の収入を準備しよう」「不労所得を得よう」という投資セミナーに出席する。不動産投資がどれほど魅力的かという話を聞く。そして、不動産業者が選んだ物件を、提携金融機関のローンで、業者がすすめるプランで、「頭金ゼロ」で、物件を実際に見ることもなく購入する。
不動産投資、特に中古ワンルームマンション投資がどれほど魅力的かということをアピールするため、こんなことが謳われている。
1. 利回りが魅力!
金利ゼロが長く続いている。預金をしても利息はつかないが、不動産投資(中古ワンルーム)の利回りはおおむね4%以上だ。
2. ローンの低金利が魅力!
今は歴史的な低金利で、おどろくほど低い利息負担でローンが借りられる。
3. 都心の物件が魅力!
日本全体は人口が減っているが、東京都心にはむしろ人が集まって賃貸物件の需要は高くなっている。この傾向は今後も変わらないだろう。
4. 家賃保証が魅力!
当社から買ってもらうと家賃保証をつけるので、万一空室になっても家賃収入が入らなくなることはない。
5. 当社の仕入れ力が魅力!
人気が高く値段が下がりにくい物件を割安に仕入れているので、お買い得だ。
6. 老後の不労所得になるのが魅力!
現役時代にローンで物件を買い、退職までにローンを返し終えれば、家賃収入が老後の収入源となる。家賃月8万円のマンションを2件持てば月16万円の収入。公的年金(たとえば月16万円)と合わせて、月32万円の収入があれば老後はゆとりのある暮らしが手にはいる。
いいことばかりだ。もしこれらが真実なら、私だって買いたくなる。
こんなリスクが見過ごされている
一方、長く不動産ビジネスに関わっているプロが驚くのは、ワンルームマンションを100%ローンで買うことが勧められているからだ。昔ながらの不動産投資は10〜50%の頭金を入れるのが常識だし、ワンルームマンションは、人気が落ちると半額になるといわれている。ここでは、100%ローン、自己資金なしで投資した場合のリスクを考えてみよう。